2007年5月16日(水)「しんぶん赤旗」
改憲手続き法(国民投票法案)成立
“近隣諸国が懸念”
海外メディアが報道
海外のメディアは十五日、改憲手続き法(国民投票法)が参議院で可決されたことについて、安倍内閣が戦争放棄の平和憲法第九条の改定に向けてさらに一歩踏み出したと報じました。
英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)は、「安倍首相は十四日、憲法改定の手続きを定めた法律を通過させて日本の平和憲法を改定するという自らの考えを達成することに一歩近づいた」と指摘。一方で、「安倍氏の動きは、近隣諸国の間に日本が軍事的に再び頭を持ち上げるのではないかとの懸念を引き起こしている」とのべています。
また、自民党は七月の参議院選挙で憲法改定を争点にしようとしているが、「この問題での国民の中での論議は、まだ、活発ではなく、人々は年金や所得格差の問題に関心がある」と伝えています。
パリ編集の国際英字紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙も、「日本政府は十四日、国会が憲法についての国民投票法を可決した後、平和憲法改定への重要な一歩をすすめた」と報道。「国民投票法の成立は、憲法改定への重要な準備段階の一歩である。憲法改定は、政権党の自民党が長年に及び胸中に秘め、安倍首相が日本の『戦後レジーム』からの脱却と呼んで最も重要だと信じている目標である」と指摘しています。
「戦闘のための憲法準備」
ロシア紙 9条維持派が多数
国民投票法の成立について、ロシアの有力紙コメルサントは、「日本は戦闘のための憲法を準備 平和条項が国民投票へ」との見出しをつけて報道しました。同時に、「新たな軍事大国への道という展望は、今のところ、日本の有権者のごく少数にしかうけていない」と解説しています。
記事は、安倍内閣が歴代自民党政権の中で、初めて改憲を最優先課題にしたと紹介。自衛隊のイラク派兵などをあげ、反憲法九条のキャンペーンが進んでいると書きました。
一方で、「改憲することはやっかいなこと」と指摘。「国会を抑えるだけでは十分でなく、これまで一度もやっていない国民投票での確認が必要」で、九条については維持派の意見が多数だと述べています。
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