2007年5月16日(水)「しんぶん赤旗」

軍の強制なしに集団自決ありえぬ

沖縄3市議会が意見書

那覇・糸満・豊見城 教科書削除に抗議

全会一致


 高校教科書の検定で、太平洋戦争末期の沖縄戦の「集団自決」に日本軍の強制があったとする記述に検定意見が付けられ、各教科書会社が修正した問題で、沖縄県の那覇市議会と糸満市議会は十五日、臨時議会を開催し、検定意見の撤回を求める意見書をそれぞれ全会一致で可決しました。


 那覇市議会の意見書では、「沖縄戦における『集団自決』が日本軍による命令・強制・誘導等なしに起こりえなかったことは紛れもない事実」と指摘。「悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって、到底容認できるものではない」と批判しています。

 糸満市議会の意見書は「沖縄戦終えんの地で、激しい地上戦で多くの住民が犠牲になっ」たと述べ、政府の検定結果を「体験者による数多くの証言や、歴史的事実を否定しようとするもの」と厳しく批判。「直接の戦闘による犠牲とは別に、日本軍による『避難場所からの追い出し』や『米軍への投降の阻止』などでも多数の住民が死においこまれた」として、速やかな検定意見の撤回を強く要請しています。

 また豊見城市議会も十四日の臨時議会で同様の意見書を全会一致で可決。「県民にとって、今回の検定結果は、歴史的事実を直視しない押し付けの教科書であると言わざるを得ない」と指摘しています。

 政府の検定意見をめぐっては、沖縄戦を体験した生き証人から、「こんな教科書では沖縄戦の真実が伝わらない」との怒りが噴出。沖縄県内では沖縄戦の体験者の証言を聞き、歴史の真実を伝えるシンポジウムや集会が相次いで開かれ、六月九日には「沖縄戦の歴史歪曲(わいきょく)を許さない!沖縄県民大会」が予定されています。

 各地で定例の六月議会が予定されており、沖縄戦の歴史改ざんを許さない沖縄県民の声と運動が広がっています。


 「集団自決」の記述修正問題 二〇〇八年度から使われる高校教科書の検定で、沖縄戦の「集団自決」について五社七点の日本史教科書に対し、文部科学省は「軍が命令した証拠はない」などとして書き換えを命じました。このため各社は「強制」という表現や「日本軍」という主語を削るなどしました。

 戦争を美化し「慰安婦」問題の教科書記述を攻撃してきた「新しい歴史教科書をつくる会」など右派勢力が二〇〇五年ごろから「集団自決」における日本軍の責任を消し去る策動を続けていました。



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