2007年5月15日(火)「しんぶん赤旗」
対イラク
米一辺倒に批判強く
英次期首相候補が討論 ブラウン氏、撤退反対
【ロンドン=岡崎衆史】来月辞任するブレア英首相の後継候補の間で、イラク政策をめぐって激論が交わされています。ブレア政権がイラク戦争への加担で国民の支持を失っただけに、多くの候補者はブッシュ政権と距離をおくべきだと主張しています。ただ最有力候補と目されるブラウン財務相(56)は、イラク政策に誤りがあったと認めながらも、英軍の即時撤退には否定的な考えを示しています。
報道によると十三日、ロンドンでの与党・労働党の次期党首候補討論会で、ブラウン財務相、左派のマイケル・ミーチャー(67)、ジョン・マクドネル(55)両議員の三氏が八十分間にわたり議論しました。
討論でミーチャー氏らは「イラク占領軍が自爆テロを生み出している」として、「二、三カ月以内に英軍を撤退させるべきだ」と主張しました。
これに対しブラウン氏は、イラク駐留の英軍部隊の人員は着実に減少しているとしながら、「英国はイラク国民に義務を負っている」と述べ、駐留継続を主張しました。
同氏は、「意見の不一致はあるが、今は軍隊撤退をいう時期ではない」「イラクで新たな段階に移行しつつある」と強調しました。
これとは別に次期副首相の有力候補者たちは、米ブッシュ政権の外交を批判し、ブレア政権の米国一辺倒路線と距離を置く姿勢を示しています。
英紙ガーディアンによると、ハーマン法務担当閣外相は「米国のイラク再建計画は失敗し、大きな過ちとなり、国際テロの脅威を増大させただけだ」と批判。ベン国際開発相も、米国との特別な関係は必要だとしつつも、国際刑事裁判所やグアンタナモ基地の問題をあげ、「米国の立場を支持できない」と明確に述べています。
またハイン北アイルランド相は、次期政権の最大の課題は「右翼的な米大統領との協力をどうするか」だと強調。米追随でなく「進歩的な国際協調の外交で国際体制の強化を追求しなければならない」と述べました。
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