2007年5月13日(日)「しんぶん赤旗」
インド
最大州で政権交代へ
最下層カースト政党 単独過半数制す
【ラクノー(インド北部ウッタルプラデシュ州)=豊田栄光】インドのウッタルプラデシュ州議会選挙の開票が十一日行われ、野党第一党の大衆社会党(BSP)が初めて単独過半数を制しました。同党は、かつて「不可触民」と呼ばれた最下層のカースト(社会集団)を強い支持基盤にしています。この結果、女性党首のマヤワティ氏が二〇〇三年八月に失った州首相の座に就くことになります。
同州は人口約一億六千六百万人でインド最大の州。議会選挙(定数四〇三、小選挙区制)の投票は四月と五月に七回に分けて行われました。
BSPは二百六議席(前回二〇〇二年は九十八)を獲得。これに対し、ムラヤム・シン州首相が率いる社会主義党(SP)は四十六減の九十七議席にとどまり、第二党に後退しました。同党は中間的農民カーストと少数派宗教イスラム教徒の支持を得てきました。
両党はともに州の地域政党で、有力政治家が支配する個人政党色が強いのが特徴です。
選挙の大きな争点の一つは汚職問題でした。現職のシン州首相が、家族の汚職捜査の中止を訴え、最高裁が却下する事態になっていました。
大衆社会党のマヤワティ党首は「腐敗した者たちを全員、監獄に送り込む」と主張。候補者に高位カースト出身者を多数擁立して「全階層の政党」をアピールし、支持を拡大しました。
シン州政権は女性の教育・進学支援(同州の女性識字率は43%)を進め、借金苦の農民への低利融資、サトウキビ買い付け制度の充実などの実績を残しましたが、汚職問題が痛手となりました。
一方、全国政党は、国政与党第一党の国民会議派が三議席減の二十二議席、野党第一党インド人民党(BJP)は三十八議席減の五十議席に後退しました。