2007年5月10日(木)「しんぶん赤旗」

元兵士対兵士勧誘官 NYで討論会

米軍のイラク撤退で一致


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(写真)米軍の兵士勧誘官と元兵士が参加し、市民らと議論した討論会=3日、ニューヨーク

 米ニューヨーク市のクイーンズ地区で三日、「米軍はイラクから撤退すべきか」と題された討論会が開かれました。高校生たちへの兵士勧誘に反対する活動を進めている反戦グループが企画。地域の兵士勧誘事務所から勧誘官を招き、イラク戦争に反対する元兵士や住民ら約三十人が参加しました。

参加者も発言

 冒頭に発言したのは、「クイーンズ・ブルックリン地区陸軍勧誘センター」のタッド・クラスネスキー大尉(38)と「反戦イラク帰還兵の会」(IVAW)のファビアン・ボウシレット氏=元海軍兵士=(26)。

 イラク帰還兵でもあるクラスネスキー大尉は、イラク戦争に突入した理由として、「イラクは度重なる国連決議に従わなかった。誰かが殺される前に、われわれが介入した。当初の目的は正しかった」と説明しました。

 これに対しボウシレット氏は、戦争の理由とされたイラクの大量破壊兵器の存在がウソだったことを指摘し、「大統領はわれわれをウソによってミスリードし、兵士たちを危険な目にさらした。今となっては大統領にあざむかれたと感じている。もはやこの戦争を支持しない」と語りました。

 会場の参加者も次々に意見表明。大企業のための石油の戦争だと指摘する声や、開戦理由が通用しなくなった今、ブッシュ大統領は「イラクの民主主義のため」と言い直しているが、「占領しておきながら民主主義など実現できるわけがない」との声が上がりました。

 また、「軍は学費を出してくれると息子を勧誘したが、学費はほとんどもらえなかった。イラクから戻ってきた息子は体の不調を訴えている」と話すヒスパニック(中南米系)の女性もいました。

短期か即時か

 戦争支持の住民は、星条旗を持って参加。ある女性は、「私の祖先は、南北戦争に招集されたが、喜んで戦争に行った。それは国を愛していたからだ」と語りました。

 クラスネスキー大尉は、「個人的意見」と断りながら、ブッシュ大統領とその父のブッシュ元大統領の「大ファンではない」とし、一九九一年の湾岸戦争でブッシュ元大統領がフセイン大統領を打倒しなかった判断には不満だったと述べました。ただ、イランを台頭させないようイラクのフセイン大統領を温存したことが「政治的に当時は最良の利益だった」と語りました。

 これに対し、ボウシレット氏は「人道的理由ではなく、政治的選択肢に基づいて戦争をしていることを認めるとは衝撃だ。それは間違っている」と切り返しました。

 イラク撤退時期については、クラスネスキー大尉はイラクでの米軍の駐留がイラク国民への支援になっていると強調しながらも、「短期間で撤退すべきだ」と発言。ボウシレット氏は、同大尉が撤退に言及したことを評価しながらも、「米軍は即時撤退すべきだ。イラクの人々の顔に銃を突きつけながら問題の解決はできない」と強調、「帰還した米兵を厚く保護するとともに、イラクの人々に補償しなくてはならない」と指摘しました。(ニューヨーク=鎌塚由美 写真も)



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