2007年5月10日(木)「しんぶん赤旗」
教育三法案
時代に逆行する
地方公聴会 国の権限強化に批判
教育関連三法案に関する衆院教育再生特別委員会の地方公聴会が九日、山形市と福岡市で開かれ、教育への国の権限を強化することに対し、「地方分権一括推進法の趣旨に反し、時代に逆行する動きだ」(斎藤弘山形県知事)など反対意見が噴出しました。
山形市の公聴会では三人の公述人全員が、文部科学相の教委に対する「是正の要求」「指示」を新設する地方教育行政法改定案を批判。斎藤氏は「現行の制度でも十分で、改めて制度設計の必要はない」と強調しました。
山形市教育委員会委員長の逸見啓氏も「具体的にイメージできない。その前に解決できる方法があるのではないか」と疑問を呈しました。
また同法案が教委の私立学校への関与を可能にすることについて「管理強化により私学の独自性が損なわれないよう配慮すべきだ」(後藤恒裕・山形市立第一中学校長)などの反対意見が相次ぎました。
福岡では、福岡県中学校校長会の野中秀典会長が「国の地方への新たな関与は地方自治の流れと違う」と批判。「子どもたちへの対応をきめ細かにしようとすればするほど、学校の自主性・自立性が求められる」と強調しました。
また、麻生渡福岡県知事は、日本共産党の石井郁子議員の質問に対し、「(国の教育への関与が)実際の運用において、広げられることはあってはならない」と答え、国の教育への管理統制に対する懸念を表明しました。
そのほか教員免許更新制について「不適切な教員はごく少数。多忙な教員の状況をみると、さらに免許更新研修を行えば、学校が破たんするのではないか」(山形・逸見氏)という懸念が出され、「副校長」など新たに管理職を新設することについても「必要なのは、学力不足の子どもたちの指導をする先生方。現場で動いてくれる先生たちなのではないか」(福岡県芦屋町教育委員会の中島幸男教育長)という批判が出ました。
■関連キーワード