2007年5月9日(水)「しんぶん赤旗」
改憲手続き法案
運動規制は違憲の疑い
参院憲法特参考人質疑 両院協にも批判
参院憲法調査特別委員会は八日、改憲手続き法案の(1)国民投票運動規制(2)改憲発議をめぐる衆参両院のあり方など―の二テーマについて、参考人質疑を行いました。日本共産党からは仁比聡平議員が質問に立ちました。
投票運動規制
運動規制については、教員・公務員規制に対する批判が相次ぎました。
日本労働弁護団会長の宮里邦雄弁護士は、ときどきの政策に関連して人を選ぶ選挙と、国のあり方や基本的人権にかかわる改憲案の成否を直接問う国民投票との違いを強調。「国民投票においては、国民に最大限の自由が保障されるべきだ」と、公務員・教員規制を批判しました。
また、宮里氏は規制賛成派が行政における公務というものは、議会で決定された政策の忠実な遂行であるべきだという最高裁判決を引きあいに出していることを批判、「憲法改正に賛成するかどうかは、決定された政策に対するものではなく憲法制定の一過程に国民が関与する問題だ」と指摘しました。
早稲田大学の西原博史教授も公務員・教員規制を批判。とくに教員の「地位利用」による国民投票運動を禁止した規定について「このようなあいまいな条項で、教育者の研究・教授・表現の自由を制限することは、憲法違反の疑いがある」と批判しました。
二院制のあり方
両院のあり方をめぐっては、法案に盛り込まれた両院協議会などが問題になりました。同協議会は、改憲案の発議で衆参の議決に食い違いが生じても、調整によって改憲の発議ができるようにするしかけです。
専修大学の隅野隆徳名誉教授は、憲法九六条が発議の要件として「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」を定めている趣旨は、憲法の改正については、国民代表機関としての衆参各院の独立性を認め、少数意見の尊重や慎重審議を求めていると理解すべきだとのべ、法案の両院協議会は「九六条の趣旨に反し、衆院優越の関係に傾く可能性すらある」と批判しました。
さらに、法案が定める合同審査会をめぐり、上智大学の高見勝利教授は「九六条は、(衆参各院での)先議、後議の時間の経過のなかでの慎重な審議手続きを予定している」と、それに風穴を開けようとしている与党の考え方に危ぐを表明しました。
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