2007年5月5日(土)「しんぶん赤旗」
イラク周辺国閣僚会議
治安・政治和解が焦点
“主権の尊重”宣言採択
【シャルムエルシェイク=松本眞志】イラク周辺国拡大閣僚会議(エジプト主催)が四日、エジプトのシャルムエルシェイクで開催されました。三日のイラク安定化をめざす「イラク・コンパクト(協定)」を採択した国際閣僚会議に続くものです。会議では、イラクの治安、難民、各政治勢力・宗派間の政治的和解などの問題が議論の焦点となりました。
主催国エジプトのアブルゲイト外相は、イラクの現状について、治安回復の目標を達成していないとの認識を示し、武装集団によるあらゆるテロを非難。「多国籍軍撤退を準備するためにイラク治安部隊の強化を急がなければならない」と訴えました。
国連の潘基文事務総長は、イラクの安定のためには政治的解決のための努力が必要だと述べ、「対話はイラク情勢を好転させる基本だ」と語りました。
アラブ連盟のムーサ事務局長は「外国軍のイラク駐留の終結はイラク人の要求であり、干渉を排してイラク問題の解決を準備しなければならない」と主張。米軍と外国軍撤退期限の設定の必要性を指摘しました。
今回、米国との直接会談が注目されたイランのモッタキ外相は「イラク国内の武装勢力が占領軍とのたたかいを求め、占領軍は対テロ戦争を口実に駐留を正当化している」と発言。「占領とテロの同盟」がイラクの危機の根源だと米国を強く非難しました。
会議参加国は、イラクの主権の尊重、イラク政府がすべての国民を政治プロセスに参加させる取り組みへの支援、あらゆる形態のテロに対する批判、エネルギー・治安・国境管理などの分野での作業グループ設立の支援を定めた最終宣言を採択しました。宣言は多国籍軍の撤退には言及していません。
三日に採択された「イラク・コンパクト」は、イラクが国際社会と協力しながら五年間で国内の民主主義を確立し、経済を再建することを目標にし、国民生活の改善と復興事業を実現し、政治的複数主義や連邦制を採用することなどを定めています。米国が二〇〇六年六月に構想を提起し、その後国連とイラク政府が承認していました。
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