2007年5月5日(土)「しんぶん赤旗」

事務所費疑惑 解明進まず

後半国会の重要課題


 安倍晋三首相は、国会議員の事務所費に領収書添付を義務づける政治資金規正法改正に向け、「必要であれば総裁として判断したい」と述べ、ようやく重い腰をあげようとしています。しかし、肝心の閣僚などの事務所費疑惑の解明は宙に浮いたまま。後半国会の残された課題です。

 与党内で浮上している改正案は、五万円以上の経常経費(人件費を除く)に領収書添付を義務づける内容です。現行法は、政治活動費には、五万円以上の支出に領収書の添付を義務付けていますが、経常経費には添付まで求めていません。

 しかし、この程度の改正案でも、自民党内の抵抗は根強く、同党の党改革実行本部では「政治活動の自由が阻害される」などと的外れな反対論が出て、調整が難航しました。世論の厳しい批判に押される形で、安倍首相も法改正に向けた「意欲」を表明せざるをえなくなったものです。

 しかし、これで一件落着ではありません。

 事の発端は、昨年末の佐田玄一郎・前行革担当相の関連政治団体の事務所費をめぐる不正経理疑惑です。その後、家賃のかからない議員会館を主たる事務所にしながら一千万円以上もの事務所費を計上していたことが、伊吹文明文部科学相、松岡利勝農水相など閣僚や、中川昭一自民党政調会長などの団体で発覚し、大問題となりました。

 さらに、松岡農水相の資金管理団体は、事務所が光熱水費無料の議員会館だけなのに、「光熱水費」に五百万円以上も計上していることが判明。松岡氏は「なんとか還元水」に使ったと述べるだけで、不自然な支出の真相について、国民にも国会にもまったく説明していません。

 政治資金規正法違反である報告書の虚偽記載ではないのかとの疑惑は消えていません。若干の法改正で、真相解明をうやむやにすることは許されません。現行法でも、一件五万円以上の領収書は三年間保管することになっており、疑惑をかけられた伊吹文科相や松岡農水相は、領収書をすすんで公開すべきです。

 安倍首相は「松岡氏は法律の要求にしたがって報告していると答弁している」(三月十三日、参院予算委員会)と閣僚をかばうだけで、真相解明に向けた指導力はなんら発揮していません。

 衆院予算委員会での集中審議などでの真相解明は、後半国会の急務となっています。

 「政治とカネ」をめぐっては、民主党も、多額の寄付を報告書に記載していなかった角田義一前参院副議長の疑惑や、花代やタクシー代を光熱水費に計上していた中井洽元法相の疑惑が未解明のままです。同党の自浄能力も問われています。



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