2007年5月4日(金)「しんぶん赤旗」
仏大統領選 TV討論
サルコジ氏 残業規制を緩和
ロワイヤル氏 中高年雇用増へ
【パリ=浅田信幸】六日の大統領選挙決選投票を前にした二日、フランスで保守候補の国民運動連合(UMP)サルコジ党首・前内相と、社会党候補のロワイヤル元環境相のテレビ対決討論が行われました。
討論では労働、経済、財政、年金、核エネルギー、教育、国際問題などにわたってしばしば激しいやりとりもあり、両候補が描く社会モデルをめぐっての対立点を浮かび上がらせました。
週三十五時間労働制についてサルコジ氏は「仏経済全体に広がった大惨事だった」「新たな雇用を生まなかった」と主張。これに対しロワイヤル氏が「百万人の雇用を生んだ」と反論し、過去五年間の政権が「なぜ廃止しなかったのか。社会進歩であることを認めているからだ」と問い詰めました。
財政赤字削減問題では、両者ともに税収増となる経済成長をめざすことでは一致。そのためにサルコジ氏は残業規制を緩和することで労働者の収入と購買力を高める必要を強調しました。ロワイヤル氏は中小企業への支援をテコとする策を提唱し、残業の拡大ではなく中高年層の雇用を促進すべきだとのべました。
討論ではロワイヤル氏が全般に攻勢的な姿勢で、相手の発言中に口をはさむこともしばしば。一方、普段から言動が「エネルギッシュで攻撃的」と評されるサルコジ氏は努めて「落ち着き」を表に出しました。
最後にロワイヤル氏は「人と人を対立させることのない穏やかな」「創造性に富んだ」フランスの建設に努めると決意を表明。サルコジ氏は「均等化、平等主義を信じない。実績と努力を信じる」「言ったことはすべて実行する」と述べ、“行動する大統領”となることを強調しました。
討論後の両陣営は、それぞれに味方候補の論戦勝利を宣言。ロワイヤル氏の私生活上のパートナーであるオランド社会党書記長は「セゴレーヌ(ロワイヤル)は討論を主導した。信頼性のあることを示したし、一貫性と任務遂行能力も示した」とコメント。サルコジ氏のスポークスマンは「彼は非常に明快で正確だった。ロワイヤル氏はそうではなく、混乱に混乱を、不明りょうに不明りょうを重ねた」と語りました。