2007年5月4日(金)「しんぶん赤旗」
ベネズエラ・オリノコ油田
国営企業の管理下に
外資から買収へ
【メキシコ市=松島良尚】ベネズエラ政府は一日、同国北部のオリノコ川流域の重質油地帯で国際石油資本が参加している四つのプロジェクトの操業が、国営石油企業(PDVSA)の全面管理下に入ったと発表しました。チャベス大統領は「石油主権を完全に回復した。真の国有化だ」と強調。この日は未明から大勢の労働者が石油生産施設地域に入り、国有化を祝福しました。
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チャベス大統領は「石油の外資開放といわれる十年以上の悪循環をきょう断ち切った」と述べ、多国籍企業が極端に低い採掘権料や税金のもとで大もうけを続けてきた過去をふりかえりました。また、「ベネズエラを資本主義モデルにしたりするのでなく、二十一世紀の社会主義の建設のために国有化した」と述べました。
オリノコ地帯以外の石油生産合弁企業の株式は、資源主権を回復するというチャベス政権のもとで、すでにPDVSAが過半数以上を保有しています。オリノコ地帯の合弁事業体については、三月の大統領令で、PDVSAが株式の買い取りによって出資比率を六割以上確保し、五月一日からPDVSAが操業するとしていました。
オリノコ地帯の事業体には、米シェブロン、英BP、仏トタルなどが参加していますが、米コノコフィリップス以外は先週、株式売却と操業権の移譲に基本的に同意しました。同社も合意する用意があるといわれます。
各企業はプロジェクトへの残留、撤退や株式売却などの条件について、六月二十六日を期限として政府と交渉することになっています。政府は、少数株主として残留するよう呼びかけています。
オリノコ地帯は、二千億バレル以上といわれる重質・超重質油を持つ世界最大級の油田で、生産能力は日量六十万バレルです。