2007年5月3日(木)「しんぶん赤旗」

主張

憲法施行60年

世界に誇る九条守ってこそ


 日本国憲法が施行されて、きょうで六十年を迎えました。

 憲法が施行された一九四七年は敗戦の翌々年です。前文に「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」とあるように、憲法は侵略戦争と暗黒政治への反省の中で誕生しました。

 以来六十年、憲法がよってたつ主権在民、恒久平和、基本的人権の保障、議会制民主主義、地方自治などの原則は国民の手で守り抜かれてきました。改憲タカ派の安倍内閣の下で、九条をはじめ改憲の動きが強まるなか、この憲法の先駆的意義を広げることが、いよいよ重要です。

戦後の息吹のなかで

 六十年を迎えるにあたり、現憲法が審議された衆院の本会議、委員会、小委員会の会議録を読み直してみました。当時の吉田茂首相が次のように発言しています。

 「本改正案の基調とする所は、国民の総意が至高のものであるとの原理に依って諸般の国家機構を定め、基本的人権を尊重して国民の自由の福祉を永久に保障し、もって民主主義政治の基礎を確立すると共に、全世界に率先して戦争を抛棄(ほうき)し、自由と平和を希求する世界人類の理想を国家の憲法条章に顕現するにあるのでありまして…」(原文はカタカナ)

 「国民の総意が至高」というだけで「主権在民」とは明言しない政府案のあいまいさは、審議のなかで日本共産党が追及し、他の党も、「主権が国民に存することを宣言」するとの修正を受け入れました。日本共産党が敗戦から三カ月後に「主権は人民にある」と明記した「新憲法の骨子」を発表し、国民の間でも民主的な憲法を求める息吹が広がっていました。

 注目されるのは、戦争を放棄し、戦力は持たないと宣言した憲法九条の論議です。日本共産党は「他国征服戦争に反対する」「他国間の戦争に絶対参加しない」などの明記を求めました。アジアと世界を侵略した誤った歴史は二度と繰り返さないとの反省をこめ、世界でも先駆的な憲法の条文を練り上げた制憲議会の意気込みは、会議録でのやりとりを通じても読み取ることができます。

 安倍首相はその憲法を、「二十一世紀の時代の大きな変化についていけなくなっている」と非難し、九条を変え、「自衛軍」を公然と持ち、「集団的自衛権」を行使してアメリカと一緒に「海外で戦争のできる国」にしようとしています。安倍首相は侵略戦争を肯定する改憲タカ派です。侵略戦争を肯定する勢力が九条改憲を推進するのは、日本国憲法の精神を根本から踏みにじり歴史に逆行するものです。

 憲法九条は、日本の平和を守る重要な力になってきただけでなく、世界の平和の秩序を作る上でも先駆的な意義を持っています。いまや世界で、戦争ではなく話し合いで国際紛争を解決していこうというのが大勢になっています。九条改憲は、こうした世界の流れにも、真っ向からそむくものとなるのは明白です。

国民は九条改憲望まず

 制定以来六十年間、改憲を許さず、日本国憲法を守りぬいてきたのは国民のたたかいです。近年改憲に反対し、九条守れの世論と運動が広がる中で、改憲を主張してきた「読売」の調査でさえ、改憲に賛成という回答が減り、半数をきりました。九条守れはどの調査でも多数です。

 憲法六十年を、草の根の力をさらに広げて改憲を阻止し、世界に誇る憲法を守る大事な節目にするために、日本共産党は国民のみなさんと共同して、力をつくす決意です。



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