2007年5月2日(水)「しんぶん赤旗」
英兵に禁固1年
イラク人虐待で軍法会議
ICC法初の認定
【ロンドン=岡崎衆史】英南西部ウィルトシャー州バルフォードの軍法会議は四月三十日、ドナルド・ペイン伍長(36)がイラクで地元住民を虐待したとして、国際刑事裁判所法に基づき、禁固一年と除隊を言い渡しました。同法は、戦争犯罪を働いた個人を裁く国際刑事裁判所(ICC)設立条約に基づく英国内法で、二〇〇一年に制定されました。同法による戦争犯罪認定は今回が初めてです。
ペイン被告の所属するクイーンズ・ランカシャー連隊は〇三年九月、イラク南部のバスラで住民を拘束。その後収容所に監禁し、フードをかぶせて暴行を加えるなどしました。その際、ホテルの受付係をしていたバハ・ムーサさん(26)が体の九十三カ所を負傷し、死亡しました。
判決はムーサさんの死の責任については問わず、他の虐待行為に関して有罪としました。同被告は、年金など計三十万ポンド(約七千万円)の受給資格もはく奪されました。
同被告とともに訴えられていた他の六人の兵士は、証拠不十分で無罪となりました。
裁判官は、ペイン被告の上官が監督を怠ったことや、拘束者にフードをかぶせ苦痛を伴う姿勢をさせるなどの行為が、イラク駐留英軍によって日常的に行われていたことを批判しました。
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