2007年5月1日(火)「しんぶん赤旗」
「カトリーナ」被災
外国援助活用5%
米政府、申し出断る
【ワシントン=鎌塚由美】ワシントン・ポスト紙(二十九日付)は、二〇〇五年にニューオーリンズなど米南東部を襲ったハリケーン「カトリーナ」被災に対する外国政府からの援助の申し出の大半を米政府が断り、わずか5%弱しか活用されていないと報じました。
外国からの被災支援が十分に活用されていない実態は、市民団体が情報公開法で政府資料を入手して明らかにしたもの。同紙が伝えたところによると、現金や石油の形で同盟国から八億五千四百万ドル(約千二十億円)の申し出がありましたが、実際には四千万ドル(約四十八億円)しか使われていないといいます。わずか5%弱です。
また、百五十の外国政府・援助団体が申し出た現金支援(四億五千四百万ドル=約五百四十億円)のうち、受領したのは四十の政府などからのわずか一億二千六百万ドル(約百五十億円)にすぎません。「受け取った一億二千六百万ドルのほとんどはいまだに使われていない」とも伝えています。
同紙は、「復興における連邦政府のもう一つの指導力欠如」を示す事例だと指摘。ブッシュ政権は〇六年二月に外国からの援助の半分(一億二千六百万ドル=約百五十億円)しか活用していないことを認めていましたが、「問題の深刻さをいっそう明らかにしている」(同紙)と伝えています。
一部の国は、民間団体の赤十字などへ申し出を変更したところもあるといいます。被災から二十カ月が経過していますが、申し出の残りについては、「官僚的形式主義や官僚主義の弊害で停滞している」といいます。