2007年4月30日(月)「しんぶん赤旗」
勤務医 過酷労働の実態
3割が80時間以上残業
妊娠時異常 6割経験
日本医労連と自治労連調査
日本医労連と自治労連が共同してとりくんだ「医師の労働実態調査」で、勤務医の過酷な労働実態が明らかになりました。その実態と原因、打開を求める運動を見ると―。
調査は、二〇〇六年十一月から〇七年三月に実施しました。三十三都道府県の千三百五十五人が回答。三十歳代38%、四十歳代30・8%となっています。
睡眠とれない
宿直回数(前月)は平均三・〇回。81・5%の医師が宿直明け後も勤務しています。日勤後に当直に入り、明けてまた日勤という三十二時間労働がまん延しています。
労働時間の平均は一日一〇・六時間、週五八・九時間。週六十時間以上が34%にのぼり、休日なしの連続勤務が平均で一八・三日となっています。睡眠も休みもとれない長時間労働が常態化しています。
時間外労働は月平均六二・九時間。三割が「過労死ライン」の八十時間以上です。前月の休日ゼロが28・8%もいました。
「一年間で内科医が七人辞職し、通常の業務ができない。当直回数も倍になった。当直明けも外来があり常に余裕がなく患者さんのためにならない」(埼玉県・男・三十歳代)、「終業時間に帰宅したことは一度もない。同時に複数の緊急事態が発生したときに対応できるマンパワーが絶対的に不足している」(長野県・女・二十歳代)など、悲痛な訴えが寄せられました。
5割辞めたい
女性医師の97・3%が生理休暇をとれず、六割が妊娠時の異常を経験しています。五人に一人(21・3%)は、妊娠時の夜勤・当直の免除など保護や支援を受けていませんでした。
「女性が働くには本当につらい職種。生理痛が強いのに休めないし、下痢がひどくて医師から入院を勧められても、外来診療と手術を通常通りやっていたこともある」(栃木県・女・三十歳代)
男女合わせて四割以上が「健康に不安」「病気がち」と訴え、「疲労を感じる」と答えたのは九割を超えました。五割以上の医師が「職場をやめたい」と考えており、医師不足を感じる人は89・3%にのぼっています。
医師不足解消のために賃金や労働条件改善、診療体制充実、医療事故防止対策の充実などを求める声が多数でした。
鹿児島県の三十代の男性医師は「医師も基本的には労働者である。これを無視した医療のあり方にメスを入れてほしい。医師本人のいのちの問題であり、国民の健康問題にも関与しているので早急に改善してほしい」との声を寄せました。
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