2007年4月29日(日)「しんぶん赤旗」
空自イラク輸送活動
国連関連はゼロか
2〜3月
乗客の百パーセント近くは米兵――。イラクに派兵している航空自衛隊の活動は事実上、首都バグダッドの軍事作戦に参加する米兵の空輸に特化しており、政府が「イラク復興支援」の象徴にしているイラク北部アルビルへの国連職員の空輸はごく一部という実態が浮かび上がってきました。
「(国連職員の空輸を開始した)昨年九月から今年三月まで合計二十五回、のべ七百六人の人員と約二・三トンの物資を運んだ」。二十四日の衆院本会議で、安倍晋三首相は初めて、国連関連の空輸の詳細を明らかにしました。日本共産党の赤嶺政賢議員の質問に答えました。
しかし、これらは同時期の空自の活動全体の二―三割にすぎないことを、防衛省はすでに明らかにしています。
さらに、二十六日の衆院イラク特別委員会で防衛省は、赤嶺議員に対して、今年一―三月の国連職員の輸送実績は「計七回、のべ百十六人、約一・四トンの物資」と明らかにしました。同時期の物資輸送の総量は約二十一トン。93%が米軍物資です。輸送回数は総数五十回に対して七回。約86%です。
一―三月期は「国連関連の輸送がない便」(山崎信之郎防衛省運用企画局長)があり、「国連関連の空輸が全般的に減少している」ことを認めました。
本紙は、昨年九月から今年三月までの空自のイラクでの活動をまとめた「週間空輸実績」を情報公開で入手しました。ほとんど黒塗りされていますが、ごく一部に、国連職員をイラク北部アルビルに輸送した内容が開示されています。しかし、今年二―三月分の活動内容はすべて黒塗りされて非開示となっており、国連関連の空輸がゼロに近いことをうかがわせます。
空自は二〇〇四年三月からC130輸送機三機と隊員約二百十人を派兵、クウェートを拠点に活動しています。陸上自衛隊がサマワから撤退した昨年七月以降、空輸範囲をバグダッドとアルビルに拡大しました。
ブッシュ米政権はバグダッドに最大で約三万七千人の兵力を展開する方針を示しており、兵力輸送のための空輸能力の確保は不可欠な要素です。空自の活動は、泥沼に陥った米軍の軍事作戦を下支えするものです。
2〜3月の記録は全部墨塗り
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空自のイラク空輸実績(1〜3月期)
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