2007年4月27日(金)「しんぶん赤旗」
“日本は平和のリーダーに”
9条の意義 米で討論
【ニューヨーク=鎌塚由美】政府・自民党が改憲の動きを強めるなか、「日本の平和憲法は時代遅れか」と題したパネル討論が二十五日、米ニューヨークで開催されました。主催したのは、米国とアジア諸国の相互理解を進める非営利組織の「アジア・ソサエティー」。ニューヨーク在住の日本人をはじめ約百五十人が参加し、熱心に議論に耳を傾けました。
「九条の会」も話題に
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司会を務めたコロンビア大学のキャロル・グラッグ教授は、現在の日本の改憲論議について、「中心は九条の未来だ」と指摘、討論を前に九条を読み上げました。
パネリストとして参加したベアテ・シロタ・ゴードンさんは、日本の憲法起草に携わり、女性の権利を書き込んだ当時の体験を織り交ぜながら、憲法九条の意義を強調。「憲法九条があったから、日本は戦後六十年間、誰一人として外国人兵士を、また自国の兵士も殺していないことを忘れてはならない」と述べ、「日本は、この平和憲法をつかって、世界の平和のリーダーになることができる」と語りました。
ベアテさんは「イラク戦争を前に、憲法九条が世界にほとんど知られていなかったのは悲劇的だ」とも語りました。
米国では第二次世界大戦直後は「二度と戦争をしまいと考えた」にもかかわらず、その後も「私たちはつねに戦争をしてきた。無念です」と振り返り、「そこで私は、侵略戦争を放棄する憲法九条が世界にとっての解決策ではないかと考えるようになったのです」と述べました。
ドキュメンタリー映画「日本国憲法」を監督したジャン・ユンカーマン氏は、イラク戦争や第二次世界大戦後の米国の戦争は「武力では国際問題を解決し、恒久平和をつくることはできないことを示してきたという、事実に基づく教訓ではないか」と述べ、憲法九条の先進性を指摘しました。
同氏は、九条を守る日本の草の根の取り組みとして「九条の会」の広がりに言及。三年間で六千を超える「会」の広がりは「かつてない草の根の教育活動」で、最近の世論調査で改憲賛成の数が減少するなど、国民世論にも影響を与え始めていると語りました。
憲法九条について「詳しく知ったのは今日が初めて」というレベッカ・ウィンザーさん(27)=アーティスト=は、討論を聞いて「先制攻撃でイラク戦争を始めた米国にとって、平和はとても重要な問題です。憲法九条を守るべきだと思いました」と感想を語りました。
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