2007年4月27日(金)「しんぶん赤旗」
通達で救済は1割
「300日」民法規定 吉川氏に法相答弁
参院委
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離婚後三百日以内に生まれた子は前夫の子と見なすという現行民法の規定が、さまざまな不利益をもたらしています。日本共産党の吉川春子議員は二十六日、参院法務委員会でこの問題を取り上げ、政府に法改正を迫りました。
「前夫の子」とされた戸籍を変更するには、現在は裁判や調停を経なければなりません。法務省は、この負担を軽減するためとして、離婚後に懐胎したことが医師の証明によって明らかな場合には、前夫以外の子として戸籍に入れることを認める通達を出すことにしています。
ところが、この通達では「離婚後」の懐胎に限定しているため、(1)夫の暴力から逃れて身を隠している間に別の男性と出会って出産した(2)夫が長期海外出張中あるいは収監中に別の男性と出会って出産し、夫とはその後離婚した――などのケースは、前夫の子ではないことが明らかであるにもかかわらず、救済されません。
吉川氏が「通達で実際に救済される割合はどのくらいか」とただすと、長勢甚遠法相は「正確な統計はないが、最高裁の協力を得て一部を調査したところ、一割くらいが対象となるのではないか」と答弁しました。
吉川氏が「通達は一定の改善だが、九割が救えないのでは不十分。法改正が必要だ。なぜできないのか」と追及すると、長勢法相は「一割だからまずいという考え方は不適切ではないか。離婚前に懐胎した人すべてが許されるべきだとは思わない」と発言しました。
吉川氏は「報道によると、大臣は法改正できない一つの理由に『貞操義務や性道徳の問題』をあげている。両性の平等を定めた現行憲法の理念とも合わない、古い考え方だ」と批判しました。