2007年4月26日(木)「しんぶん赤旗」

国会の視点

改憲手続き法案 審議の異常

「慎重に」の声聞かず


 「審議時間や公聴会など形だけを整えて、なんとしても改憲手続き法案をごり押ししようとしている。むちゃくちゃだ」。二十五日、参院議員面会所に集まった市民からこんな怒りの声があがりました。

 九条改憲と地続きの改憲手続き法案をめぐり、自民、公明の与党が、民主党の合意も取り付け、参院憲法調査特別委員会での連日審議を強行するなど、少数会派の反対を押し切って異常な運営を続けています。

 二十五日の審議日程も、正式の理事会や理事懇談会を待たずに、前日の地方公聴会のあと、「まだ帰りの新幹線の中がある」(自民党理事)などとして、自民・民主の筆頭間協議で決めたもの。

目標審議時間

 当初、与党が「(二十五日は)午後二時から九時まで七時間」という常軌を逸する提案をし、理事懇で協議が物別れになっていました。とにかく与党が「目標審議時間」をかせごうとする姿勢があまりにも露骨です。

 国の最高法規である憲法にかかわる重大な法案なのに、慎重審議を求める意見を無視してすすめることは許されません。

 国民の意見を聞いて審議をすすめるという点でも、異常な運営が影を落としています。

 二十四日の地方公聴会の開催も十分な余裕を設けずに直前に決めたため、国会が国民から真摯(しんし)に意見を聞く場として、あってはならない事態を招きました。

 仙台会場の公述人・藤野美都子福島県立医科大教授は、自分の出席が決まったのは、三日前の夜で、参院事務局から送付された関連資料を手にすることができたのは当日の朝だと発言。「準備をするにもまったく時間がなかった。結果として、貴重な機会を十分に生かせないことを残念に思う」とのべました。

 事前の日程資料でも、前日の夜まで与党推薦の最後の公述人の名前が埋まらなかったほどです。

結論先ありき

 これでは公述人が批判したように「結論先にありき」(弁護士の佐々木健次氏)であり、「今回のような公聴会の開催は、法案を通過させるための形式的な手続き」(藤野氏)といわれてもしかたがありません。

 慎重審議を求める意見が相次いだ同日の地方公聴会の後の記者会見で、自民党の舛添要一筆頭理事は「会期末は限られている」などと“反論”しました。

 しかし、これだけ疑問や異論が出されている法案に対して、まともな審議や国民的議論の保障もなく、とにかく時間だけをかせいで法案をごり押ししようとするのは、まさに主権者国民を踏みにじる態度といわざるをえません。「国民主権の具体化」という法案正当化の口実を与党自ら掘り崩しているのです。(藤原 直)



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