2007年4月22日(日)「しんぶん赤旗」

米軍

イラクに分離壁

首都住民の生活困難に


 【カイロ=松本眞志】イラクの首都バグダッドで、宗派間抗争の防止を理由にした米軍による「分離壁」の建設が進んでいます。

 米軍は十日から、イスラム教シーア派教徒が多く住むバグダッド東部のアザミヤ地区で高さ三・五メートル、全長五キロに及ぶ壁の建設を開始。壁はシーア派教徒コミュニティーと隣接する三つのスンニ派コミュニティーをそれぞれ包囲するように建設されているとされます。米国メディアは、スンニ派住民が多い南部のドーラ地区でも今月初めから分離壁建設が開始されたと報じています。

 現地の米軍高官の一人は「(分離壁は)宗派間の暴力の連鎖を断ち切るという米・イラク軍の新戦略(武装集団掃討作戦)の重点の一つだ」とし、シーア派とスンニ派を分裂させることが目的ではないと語っています。

 米軍は二月中旬以降の武装集団「掃討」作戦で、バグダッドを十の作戦区域に分割して非常線を張り、通勤、通学、買い物など住民の往来を制限してきました。分離壁の建設によって住民生活がいっそう困難になることが予想されます。


「イラクへ関与無期限でない」

米国防長官

 【カイロ=松本眞志】ゲーツ米国防長官は二十日、訪問先のイラクの首都バグダッドでのイラク政権の指導者らとの会談で、宗派間抗争を停止するよう求めました。ゲーツ氏は進展がない場合、「米国のイラクへの関与は長期的なものだが、無期限ではない」と述べ、イラク政府に圧力をかけました。

 また、武装集団「掃討」作戦の目的はイラク政権に政治改革の時間を与えることであり、紛争自体を終結させることではないと述べ、作戦の効果が疑問視されていることを釈明しました。

 会談後、マリキ首相は、国民和解、治安回復、議会改革が優先課題として残されていると従来の主張をくり返すにとどまりました。



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