2007年4月22日(日)「しんぶん赤旗」

格差・貧困は自由の侵害

日弁連が憲法・人権でシンポ


 「ワーキングプア」や「ネットカフェ難民」などの格差問題から憲法と人権の問題を考えるシンポジウムが二十一日、都内の弁護士会館で開かれ、市民ら約二百人が参加しました。研究者やテレビ記者、弁護士らが意見を交わしました。

 日本国憲法施行六十周年を記念し、日本弁護士連合会が二回に分けて開催するシンポジウムの第一回です。

 日弁連憲法委員会の庭山正一郎副委員長は「改憲論議が台頭する背景を明らかにし、憲法の理念を尊重する立場で、市民の皆さんと問題意識を共有し考えていきたい」とあいさつしました。

 神戸大学の二宮厚美教授(経済学)は講演で、年収が生活保護水準を下回る非正規労働者が増えている現状を挙げ、「格差の問題は貧困問題であり、貧困は自由の侵害。これを推進した主犯格が、新自由主義的な構造改革だ。自民党の『新憲法草案』は格差と能力主義競争をさらに拡大する方向で書かれている」と指摘しました。

 決まった住所を持たず、日雇いの派遣労働で食いつなぐ若者を紹介したドキュメント「ネットカフェ難民」が上映されました。

 制作を担当した日本テレビの水島宏明解説委員はパネルディスカッションで「彼らは虐待経験を持ち、借金も負うなど多くの苦悩を背負っていた。そこにサラ金などの貧困ビジネスがさらにたかるという構図だ」と発言しました。

 名古屋大学の愛敬浩二教授(憲法学)は「『最低限の生活の保障』とは、それを下回ると民主社会の市民として活動する基盤を失うということ。(ネットカフェ難民など)自由も尊厳も奪われた人が日本社会で生まれている現在、憲法二五条の意義は高まっている」と語りました。

 第二回は七月、イラク戦争をテーマに開催します。



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