2007年4月21日(土)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
学力テストで個人情報収集
石井 「保護者同意あるか」
文科相 「子どもに説明する」
|
二十日の衆院教育再生特別委員会で、日本共産党の石井郁子議員は、二十四日実施の全国一斉学力テストが抱える数々の問題点を安倍晋三首相にただしました。
法に違反する
一斉学力テストでは、国と民間企業がテストを受けた児童・生徒の個人情報をにぎることが大きな問題になっています。
学力テスト当日は、テストのほかに「児童・生徒質問紙」に答える時間があります。昨年の予備調査には、個人の氏名や出席番号を書かせてから、「一週間に何日、学習塾に通っているか」「家の人と旅行に行くか」などプライバシーにかかわる項目が並んでいました。
個人情報保護法一六条は「個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、…利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない」と定めています。
石井氏 本人や保護者の同意は得ているのか。
伊吹文明文部科学相 保護者の同意は求めていない。実施要領を公表しているから十分理解をいただいていると思う。
石井氏 同意は得ていないということだ。個人情報保護法違反だ。民主主義の基本のルールにかかわる大問題だ。
石井氏が次に安倍首相の答弁を求めたのに対し、伊吹文科相は首相をさえぎって釈明を試みました。
「明日の『赤旗』に(保護者の)同意を求めない、と認めたと書かれると困ります。本人には説明し、同意をするから(テストを)受けている」
石井氏は「そういう答弁で済ますわけにはいかない問題だ」と厳しく批判しました。
企業に丸投げ
全国一斉学力テストは、小学校はベネッセコーポレーション、中学校はNTTデータが文部科学省から受託しています。民間産業に丸投げすることに不安が広がっています。
石井氏は、ベネッセが各小学校あてに送っているダイレクトメールを取り上げました。そこには「全国学力調査が四月二十四日に予定されておりますが、ベネッセコーポレーションの総合学力調査を学校様独自でもご実施いただくことで以下のことを実現できます」と書かれています。児童一人に付き七百円で、全国学力テストを自社の独自テストの売り込みに利用するものです。石井氏は「重大問題だ」と追及しました。
文科省の学力テストの委託契約書では、事業を受託したことで営業行為を行うことを禁止しています。安倍首相は「文科省は厳正に対処していると聞いている」と述べました。
ところが石井氏は、ベネッセが「通常の営業・販促活動を行うことに関しては、特に問題がないと考えている」と居直っている実態を指摘し、首相の認識は甘いと批判しました。
学ぶ意欲奪う
学力テストの公表と学校選択制がリンクすることで各地で弊害が起こっています。学力テストが実施され、多くの自治体で学校選択制を導入している東京都では、学校で「おまえがいると成績が下がるから休め」と言われるなど子どもが傷ついています。石井氏は「これでは子どもたちから学ぶ意欲を奪うことになる」と批判しました。
■関連キーワード