2007年4月19日(木)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
改憲手続き法案
少数の賛成で改憲可
公明党議員も「おかしい」
参院特委 仁比議員追及
九条改憲と地続きの改憲手続き法案が審議された十八日の参院憲法調査特別委員会で、日本共産党の仁比聡平議員は、国民を無視して採決を急ぐ与党の姿勢や、法案の反民主的な仕組みを厳しく追及しました。
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仁比氏はまず、十六日の参院本会議で法案提出者の保岡興治衆院議員(自民)が「参議院においては、ゼロから議論を始めるのではなく衆議院での審議を踏まえて、足らざるところを…」などと参院審議を衆院審議の補完物のように扱った問題をただしました。
仁比氏 陳謝したというが、参院の運営に指図する発言だったという自覚はあるか。
保岡氏 そのときは、まったくなかったが、そう受け止められてもしかたないので、おわびし、訂正した。
仁比氏は、保岡氏が二〇〇四年当時、自民党憲法調査会長として参院の権能を後退させる憲法改正草案大綱(たたき台)をまとめ、参院自民党などの猛反発で撤回に追い込まれた経過にふれ、「二院制や参院の権能について現行憲法に根ざしたしっかりした考えがないからああいう発言が出るのだ」と批判しました。
国民の拙速だという批判を押しきって、衆院で強行採決をした直後になされた暴言です。仁比氏は、「あなたには発議者としての資格がないといわざるをえない」と強調しました。
仁比氏は「保岡氏の発言は、安倍首相の『任期中の改憲、そのためにまずは手続き法だ』という発言と表裏一体だ」と指摘。期限を切って成立を迫る安倍首相の発言も許せないものであり、「与党が手続き法案を『国民主権の具体化だ』というなら、参院でこそ、主権者・国民の総意を組み尽くして議論を尽くすことだ」と強調しました。
次に仁比氏がただしたのが、「憲法改正手続きを定めた九六条は、憲法論上どういう意味をもっているのか」という問題です。
まともに答えられない提出者に対し、仁比氏は「九六条が国民投票での過半数による承認を求めているのは、改憲案を発議する国会より、主権者・国民の意思が優位するということだ」と強調。その上で、法案には、最低投票率の定めすらない問題にふれました。
仁比氏 投票率が低い場合、有権者の四人に一人などわずかな賛成で憲法が変えられる。おかしいと思わないか。
公明党・赤松正雄衆院議員(提出者) おかしいと思う。
仁比氏は、提出者が、「最低投票率を設けることは、憲法違反の疑いがある」(保岡氏)などと答弁してきたことについて「憲法九六条はどんなに低い投票率のもとでも、改憲案が承認されてもかまわないといっているのか」と根拠のなさを追及。保岡氏が同日の民主党議員の質問に対し、「最低投票率は憲法改正を難しくする」と本音を語ったことを指摘しました。
仁比氏は、「国民が総意で決めたといえるためには、せめてどれだけが投票しなければならないのか。徹底して議論すべきだ」と強調。「憲法はその趣旨を求めている」と徹底審議を求めました。
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