2007年4月19日(木)「しんぶん赤旗」
14歳未満も強制調査
少年法改悪衆院委可決
共産党は厳罰主義批判
衆院法務委員会は十八日、十四歳未満の少年が起こした事件で警察に強制調査権を与えることを柱とする少年法の改悪案について、与党提出の修正案を採決し、与党の賛成多数で可決しました。
与党修正案は、現在「十四歳以上」とされている少年院送致の年齢を、「おおむね十二歳以上」に引き下げました。
刑罰法令に触れる行為をした「触法少年」について、現行法では、児童相談所が調査することになっている十四歳未満の少年についても、警察が強制調査ができるようにする内容です。政府案では、強制調査の対象に、将来罪を犯す恐れがあるとみなす「ぐ犯少年」を含めるとしていましたが、修正案は「ぐ犯の定義があいまい」として、この規定を削除しました。
日本共産党は同委員会に委員がいませんが、十三日に行われた厚生労働・法務連合審査会で、石井郁子議員が、政府案について「非行防止にとってもっとも有効とされる福祉的なケアを根本から否定し、罰と警察権限による子どもたちの監視を強めるものであり、容認できない」と批判。与党案で削除された「ぐ犯少年」の扱いについては、「対象があいまいで、事実上すべての子どもが調査できるようになる」と見直しを求めていました。
軍事・強権の「恐ろしい国」づくり止める
志位委員長
日本共産党の志位和夫委員長は十八日、遊説先の千葉県浦安市内で、少年院送致の年齢下限を現行の十四歳以上から「おおむね十二歳以上」に引き下げる少年法改悪案が衆院法務委員会で強行採決されたことについて記者団に問われ、「非行など少年のさまざまな問題に厳罰主義でのぞむやりかたには反対だ」と批判しました。
このなかで志位氏は、少年の非行問題については、福祉・教育の専門家がきちんと対応するのが一番合理的だとのべ、「そういう専門的知識がない警察が介入しては解決しない。少年問題を解決するうえで有害だ」とのべました。
その上で志位氏は、「安倍晋三首相は、『美しい国』というが、『恐ろしい国』づくりがはじまっている」と指摘。「教育基本法改悪とその具体化である教育三法案の審議入り、米軍再編促進法案の採決強行、そして今度の少年法改悪案の採決などは、軍事・強権国家をつくる流れであり、その中心は憲法九条をかえて『海外で戦争する国』をつくるものだ。この流れに正面からたちはだかり、ストップをかけていきたい」と強調しました。