2007年4月17日(火)「しんぶん赤旗」
日本共産党 パパ・ママと汗流して40年
子ども医療費無料化を拡充
今や「中3まで」要求
党都議団 条例提案し次々拡大
東京都ではいま、子どもの医療費無料化の拡大に大きな注目が集まっています。きっかけは先の都知事選です。日本共産党が推薦する吉田万三候補が「中学生までの医療費無料化」を掲げるなか、石原慎太郎都知事も「中学三年生までの医療費負担をゼロにします」と公約したのです。
東京都では、都民と共産党の運動が実り、十月から小・中学生までの医療費一割助成制度(自己負担二割)がスタートします。しかし、昨年九月、共産党都議団が行革一一〇番、自治市民、市民の党の三会派と共同で議会運営委員会に提出した、中学生まで医療費を無料化する条例案は、自民、民主、公明の反対で否決されました。
都知事選での石原氏の発言は、都民の運動と結んだ共産党の主張が、「対象年齢を拡大する考えはない」とかたくなに実現に背を向けてきた都の壁を破ったものです。
石原氏の発言を受け、共産党都議団は十三日、「中学生までの医療費無料化を来年度には実施するよう、ただちに具体化に着手する」ことを申し入れました。
東京で子どもの医療費無料化を求める運動は、新日本婦人の会の人たちなどによって六八年に始まり、政党としては日本共産党が初めて議会で提案。都議会でも八八年から八九年にかけて、四度にわたって条例提案をしました。自民党は「断固反対」、公明党も「単なるスタンドプレー」と反対しましたが、都民の運動が広がるなか、ついに九四年一月から三歳未満の医療費無料化が実現。その後、九七年の都議選で共産党が第二党に躍進した力で対象年齢を拡大してきました。
〇三年十二月九日には曽根はじめ都議が、都議会で初めて小学生までの医療費無料化を提案。〇四年九月二十八日には清水ひで子都議が、同じく都議会で初めて中学生までの無料化を求めるなど、都議会で繰り返し都の姿勢をただしてきました。
大山とも子都議は、〇五年三月十七日の厚生委員会で無料化拡大にかかる費用を都に明らかにさせ、同年五月二十七日には、小・中学生の保護者らの都への要請に同席し、医療費無料化を中学生まで拡大するよう要望。担当課長から、「重く受け止めて、なにをすべきか考えていきたい」との回答を引き出しました。このように、共産党都議団は、中学生までの医療費助成実現に大きな力を発揮してきました。
全自治体で制度実現
子どもの医療費無料化は、すべての親の共通した願いです。その実現にむけ、日本共産党は四十年近くにわたって奮闘してきました。
一九六一年、岩手県の沢内村(現西和賀町)が乳児医療費の無料化を初めて実施しました。これをきっかけに、新日本婦人の会が六八年、全国に運動をよびかけ、署名を集めて国や自治体と交渉するなど、子ども医療費助成制度の実施・拡充を求める運動が進みました。いまでは、四十七都道府県すべての市区町村に制度が広がっています。
助成対象は年々拡大しています。「就学前」以上に助成する自治体は、通院の場合、二〇〇〇年には全自治体の10%でしたが、〇六年には70%に。入院の場合は24%から91%にまで達しています。(全国保険医団体連合会調べ)
■粘り強く
日本共産党は、運動と結びながら、全国各地の地方議会で、助成対象年齢の引き上げや、所得制限の撤廃、病院の窓口払いの撤廃を繰り返し要求してきました。条例提案や住民の請願を、自民党や公明党が否決するなかでも、粘り強く世論を広げて行政にはたらきかけてきました。
佐賀県基山町は今年四月から、医療費無料の対象を、通院は就学前まで、入院は小学校卒業までに拡大しました。昨年十二月議会で、日本共産党の松石信男町議の質問に、町長が「以前より松石議員並びにほかの議員も要請されておりましたし…ぜひ実施したい」と答弁。十二月議会に提出された住民の請願は、公明党などの多数によって不採択にされましたが、町長が助成拡大の提案をすると最終的には、一人をのぞいて「賛成」に回りました。
福島市では、小学六年生までの無料化が実現しました(今年十月から)。制度拡充を求めて新婦人が昨年十二月議会に請願を提出したり、日本共産党市議団が市長への予算要望で要求してきました。党として、全県規模で中学卒業までの医療費無料化を求める「こども署名」に取り組んでいます。
■国に向け
全国各地に制度は広がっていますが、一方で、「行政改革」の名のもとに、「自己負担なし」とする自治体が、71%(九八年)から46%(〇六年)に減少しています(全国保険医団体連合会調べ)。市区町村ごとの制度格差が広がっており、国の独自の制度創設が求められています。
日本共産党は国会で、七一年に浦井洋衆院議員が「乳幼児医療費の無料化」の実施を迫って以来、国の制度実現を繰り返し求めてきました。
〇一年には、六歳未満の乳幼児医療費を無料化する国の制度創設には千二十億円あれば足りることを、初めて政府に認めさせました。在日米軍への「思いやり予算」と比べて半分の規模です。同年六月には、「乳幼児医療費の国費助成」を盛り込んだ決議が参院で可決されました。
しかし、自公政権は、国の制度化は「至難の業」(坂口力厚労相、〇三年、参院予算委)などと消極的な姿勢に終始し、いまだに実現していません。それどころか、窓口負担をなくしている自治体に対して国庫負担金を減らすという、国民の願いに逆行する立場をとり続けています。
住民の運動と結んだ四十年にわたるたたかいの努力が実りつつあるいま、国会と地方議会での日本共産党の前進が、さらなる制度の拡充の確かな力です。
公明党こそデマ宣伝
白黒偽り時系列もねつ造
公明党は、十月から実施される小・中学生への医療費助成について「ゆるせない! 共産党がデマ宣伝」「実際は公明党の実績です」と、白を黒と偽って日本共産党を攻撃しています。
公明党の言い分は、(1)医療費助成の拡大は、自民、公明がおこなった昨年六月の都への申し入れ、九月の都議会質問で実現したものだ(2)共産党は、公明党へ都が前向きな答弁をしてから、実績の“アリバイ工作”に中学生まで無料化する条例案をだしてきた―というものです。これこそ悪質な“デマ宣伝”以外のなにものでもありません。
第一に、日本共産党が、二〇〇四年の清水質問以来、繰り返し小・中学生への医療費無料化を求めてきたのは明白な事実です。時系列を問題にするのなら、後から言いだした公明党こそ“アリバイ工作”との批判を免れません。
第二の、都が前向きな答弁をしてから、共産党が条例案を出したというのも大うそです。
日本共産党が、四会派共同で議会運営委員会に条例提案をしたのは九月十三日。都が前向き答弁をしたのは九月二十六日です。公明党は意図的に時系列をねつ造しているのです。
この問題ではむしろ、これまでの公明党の態度こそ問われます。
〇五年六月、日本共産党が提案した中学生まで医療費助成を拡大する決議案に、公明党は自民、民主とともに反対しておきながら、直後の都議選では中学生までの医療費助成を公約しました。
ところが、〇六年九月に日本共産党が中学生まで医療費無料化する条例案の共同提案を呼びかけると、これを拒否。あげくのはてに「選挙目当てのパフォーマンス」などといって、自民、民主とともにまたもや反対し、否決したのです。