2007年4月17日(火)「しんぶん赤旗」

主張

安倍改憲政治

「恐ろしい国」許さぬために


 任期中の憲法改定を公言する安倍晋三首相の下で、改憲を準備し、日本を「海外で戦争をする国」に変えていく、タカ派的な策動が強まっています。自民・公明の与党が衆院で採決を強行し、参院で成立をねらっている改憲手続き法や米軍再編推進法は、その最たるものです。昨年秋に改悪された教育基本法にもとづき教育への国家統制を強める動きや、憲法が禁止する集団的自衛権の行使を目指すなどの動きも強まっています。

「改憲」の持論に沿って

 改憲手続き法は文字通り、改憲のための、改憲と“地続き”の法律です。与党の案は、少数の賛成で改憲が実現できるよう最低投票率も最低得票率もなくし、公務員などの言論・表現の自由は奪う一方、財界によるカネにあかしたコマーシャルを認めるなど、改憲を通しやすくするルールを押し付けるものです。

 安倍首相や自民党が憲法改定でねらっているのは、憲法九条を改悪し、自衛隊を「自衛軍」と改称して、アメリカといっしょに「海外で戦争をする国」になることです。国民の税金で米軍の再編を手助けするとともに、自衛隊の米軍と一体になった活動を強化する米軍再編推進法は、その改憲策動と同じ方向です。

 憲法改定も米軍再編も国民が望んでいることではありません。もともと自民党きっての改憲タカ派である安倍首相が、支持率低落を挽回(ばんかい)する狙いもあって、持論に沿って実行を図っているところに今日の危険性があります。安倍内閣によるタカ派的な策動が露骨に進められる中で、国民の間でも、海外でも、懸念と不安がいっそう広がっています。

 世論調査を見ても、たとえば「読売」の憲法問題の調査(六日付)では憲法を「改正するほうがよい」という回答が三年連続で減少し、46%と半数を割り込みました。とくに憲法九条については「改正」は36%にすぎず、「改正」に批判的な回答が多数です。改憲手続き法についてもNHKの調査(九日放送)で、与党案に賛成というのは29%、そのなかでも今国会で成立させるべきだというのはわずか8%という少数派です。

 安倍首相や自民・公明の与党がねらった、五月三日の憲法記念日までに改憲手続き法を成立させ、この夏の参院選では「改憲を訴えて行きたい」(安倍首相)という日程に合わせ、しゃにむに改憲手続き法の成立を急ぐというやり方は、改憲を目指すことでは共通の立場に立ち、「共同修正」の話し合いを進めてきた民主党とも矛盾を深めています。改憲へのレールづくりをねらった「共同修正」路線は破たんしました。

 安倍首相が「従軍慰安婦」問題で「強制の根拠はない」と発言するなど、侵略戦争肯定の立場を露骨にすると同時に、九条改憲などタカ派的な策動を強めていることに、たとえばアメリカからはジェラルド・カーティス氏やマイケル・グリーン氏、日本では岡本行夫氏など、従来“知日派”“親米派”といわれた学者や評論家からも、公然と懸念の声が上がっています。

日本共産党の前進で

 日本共産党の志位和夫委員長は、安倍首相の、改憲を任期内に実現し、「戦争をする国」をつくるための軍事的・強権的な国づくりを、「美しい国」どころか、「恐ろしい国」をつくるものだと批判しました。(十三日)

 日本共産党は、安倍首相がねらう改憲タカ派の政治に反対をつらぬきます。国民のたたかいとともに、この党が前進することが、「恐ろしい国」づくりを許さない力です。


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