2007年4月15日(日)「しんぶん赤旗」
奴隷制度を「正式謝罪」
米ノースカロライナ州議会
【ワシントン=山崎伸治】米南部のノースカロライナ州議会は十二日、奴隷制度を「正式に謝罪する」とした上下両院合同決議を承認しました。過去の奴隷制度に「遺憾の意」を表した決議は、これまでに南部バージニア、東部メリーランド両州の議会が採択していますが、謝罪を明記したのはノースカロライナ州が初めてです。
三州はいずれも十七世紀に英国人が入植し、直後から奴隷制度が実施されました。一七七六年の米国独立時の十三州に含まれています。
ノースカロライナ州の決議は、独立時に同州の三割の世帯が奴隷を所有し、南北戦争(一八六一―六五年)のころには三十三万人の奴隷がおり、州人口の三分の一を占めたと指摘。一八六三年の奴隷解放宣言でいったんは参政権を認めながら、一九〇〇年にはそれを否定して学校の人種隔離も実施したこと、その結果として一九五〇年までに二十七万人のアフリカ系州民が他州に移住したという歴史も明記しています。
その上で「ノースカロライナで奴隷制度を実施したことを正式に謝罪し、同胞の基本的人権と尊厳を否定し、それを長引かせた政府の行為に対し、深い悔恨の念を表明する」と決議。個人の尊厳を尊重し、社会から人種偏見や不正義、差別を根絶するよう「日々努力する」よう呼びかけています。
合同決議は下院で百十七、上院で四十六の賛成で可決、反対はいずれもゼロでした。
メリーランド州議会は三日までに、過去の奴隷制度に「深い遺憾の意」を表した上下両院合同決議を採択しています。