2007年4月12日(木)「しんぶん赤旗」

生活賃金法を制定

全米初 最低賃金の2倍も

メリーランド州


 【ワシントン=山崎伸治】米メリーランド州議会は九日、同州の事業を受注する企業に対し、労働者の賃金を都市部では少なくとも時給十一・三〇ドル(約千三百四十円)、郊外では八・五〇ドル(約千十円)にすることを義務付ける「生活賃金法」を可決しました。オマーリ知事(民主党)は署名の意思を表明しており、全米では州レベルで初めてとなります。

 同法の対象となる企業は一部ですが、恩恵をこうむる労働者は約五万人とみられています。提案者のハッカー州下院議員(民主党)は「数万人のメリーランド州民を貧困から救うことになる」と強調しています。

 連邦政府が定めている最低賃金は現在、五・一五ドル。これがあまりにも低いために州独自で制定する動きが強まり、メリーランド州では現在六・一五ドルです。

 「生活賃金」は、連邦政府の定める最低賃金にとどまらず、労働者が生活できる賃金を保障しようという考え方から生まれたもので、自治体や公立大学などの仕事を受注している企業の労働者が対象です。一九九四年にメリーランド州最大都市ボルティモアが制度を設けて以来、全米で運動が広がり、百二十の自治体がすでに「生活賃金」を制定しています。

 首都ワシントンDCに隣接するメリーランド州モンゴメリー郡の「生活賃金」は十一・六〇ドル、プリンス・ジョージ郡は十一・二五ドル、ボルティモアは九・六二ドルとなっています。

 同州では生活賃金法が二〇〇四年にも可決されましたが、当時のアーリック知事(共和党)が拒否権を発動。代わりに最低賃金が五・一五ドルから六・一五ドルに引き上げられました。昨年十一月の知事選挙で初当選したオマーリ氏は今年一月、生活賃金法を成立させることを表明していました。

 米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)も同法の成立に向けて運動を広げてきました。メリーランド州・ワシントンDC・AFL・CIOのメイソン議長は「州が貧困レベルの雇用を作り出すようなことをしてはならない」と同法の成立を評価しています。


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