2007年4月11日(水)「しんぶん赤旗」
前文・9条全面書き換え
日本会議議員懇が改憲大綱案
自民、民主両党議員らが加入する右翼改憲派の日本会議国会議員懇談会(会長・平沼赳夫元経済産業相)が憲法前文、九条を全面的に書き換えるなどの「新憲法大綱」(案)を作成していることが十日までにわかりました。
同国会議員懇談会は安倍晋三首相が首相就任前まで副幹事長をつとめるなど中心的な活動を担っていた議員集団の一つ。安倍内閣の十五閣僚中十二閣僚が加入しています。新憲法大綱は二〇〇五年十一月決定の自民党新憲法草案の手直しを狙い、憲法施行六十年に当たる五月三日を前に公表される運びです。
本紙が入手した新憲法大綱(案)によると、「新憲法」大綱(案)とすることで現憲法を全面的に改悪する意図を明確に打ち出しています。前文、天皇、安全保障、基本的人権など十一の柱について盛り込まれるべき四十八項目の具体的な指針と方向性を示しています。
前文については全面書き換えし、「日本国の歴史」や「伝統的な価値観」を重視すること、国民のあり方では「公民としての自覚を持って、権利および自由を公共のために役立てること」を盛り込むべきとしています。大日本帝国憲法(明治憲法)の歴史的意義についても踏まえる、としています。
天皇については将来にわたり象徴天皇の位置を存続し、「皇位は皇統に属する男系の男子」による世襲と「国家元首」の位置を憲法上に明記するとしています。
安全保障条項では、憲法九条の一項に相当する条文は「国家に固有の自衛権や自衛のための戦争まで放棄する趣旨ではないことが明確になる表現に改める」、また戦力不保持、交戦権を認めない同二項は「全面的に削除」し、代わって「国軍の保持」「国軍が国際の平和と安定に寄与することができる旨を明記する」としています。海外での交戦と派兵を憲法上認める一方、国家非常事態条項を新設し、「国民の『国防の責務』を規定する」としています。
基本的人権条項は全面改定を提起。新たに「国または公共の安全」「公の秩序」「他者の権利および自由の保護」などによる人権の制約原理を規定するとしています。
大綱(案)の作成に当たっているのは同国会議員懇談会の新憲法制定促進委員会(準備会)で、安倍首相とは極めて近い古屋圭司衆院議員らを中心に最終案のとりまとめ作業が進められています。
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