2007年4月9日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

建設職人の技生かす

安全なまちへ連携


 建設関係労働組合が日本共産党地方議員との連係プレーで、地域防災協定を結び、安全な街づくりをすすめたり、住宅の改修助成制度をつくらせています。千葉と京都・福知山市での取り組みを紹介します。


土建労組と商店街、町会

防災協定

千葉

 千葉県の千葉土建一般労働組合(鈴木雄一委員長)は、安心・安全のまちづくりをめざして自治体や商店会と防災協定を締結、福祉団体とボランティアの連絡会を設立するなど多彩な活動を広げています。組合員は六年連続して増え、しかも連続千人を超す拡大を続け、過去最高(現在約二万八千人)を更新し続けている元気な組合です。

県連絡会に参加

 二〇〇五年に、県内の組合員が人命救助や復旧作業にかけつける「耐震提言」を提起しました。今年三月、県赤十字安全奉仕団などが呼びかけ、千葉土建や千葉市社会福祉協議会など十一団体による「千葉県災害ボランティアセンター連絡会」が設立されました。

 昨年三月には災害時の救出・救助や住宅の応急補修などを行う防災協定を、千葉市中央地区商店街協議会と締結しました。以降、「地域の助け合いネットワーク」を合言葉に運動を広げ、船橋、勝浦、松戸、いすみ、市川各市、各地の商店街、町会とも同協定を結びました。行政からは「地域にねざしたこういう組合があるとは」と驚きや期待の声も聞かれました。

 防災の取り組みは、千葉県ボランティア・市民活動センター情報誌『えーるちば』(〇六年十一月)で、「阪神淡路、新潟中越地震で大活躍 千葉土建の災害ボランティア」と紹介されました。

 千葉土建は行政に対し、耐震診断・補修の助成、民間家屋への助成を求めてきました。千葉市では木造住宅の改修助成制度を実現しました。日本共産党市議団が議会で繰り返し要求してきたことが実ったものです。

 県は「個人の建物への助成は個人資産の形成につながる」として、助成は拒否しています。「被災者の一番の希望は『自分の家で暮らしたい』ということ。ライフラインや道路だけ行政が復旧し、『住宅は自己責任』では生活が再建できない」と長勝則書記長は話します。

下請けを保護

 ほかにもあります。下請け業者の賃金や労働条件を保障する「公契約条例」運動を続けて十数年、条例制定をめざす意見書可決は、県内二十九自治体に広がりました。県議会でも全会一致で可決。首都圏では初めてです。

 大手ゼネコンの公共工事現場を訪問し、労働条件や賃金、建設業退職金共済制度(建退共)などの関係法令が守られているかなどを調査し、浦安市にあるレジャー施設「ディズニーシー」の建設現場では、労働単価が守られず、トイレも足りない現状が発覚。労働基準監督署も指導に入り、改善へと動かしました。

 貧困や格差をなくし、暮らしと営業、平和を守る千葉土建―。「憲法九条を守り、平和に生かす」署名では二年足らずで二十五万人分を達成し、第六次の「憲法改悪阻止・署名提出」行動で国会に提出しました。(千葉県・浅野宝子)


議会で共産党も2年半で25億円超

改修助成制度

京 都・福知山市

地図

 京都府の北部、福知山市の住宅・店舗改修助成制度は、二〇〇六年度までの二年半で二十五億円を超える工事発注となって、地域経済の活性化に抜群の役割を発揮しました。

市内業者に仕事

 助成制度は、市民が住宅や店舗の修繕・補修工事を行う際、市内の業者に発注すれば、工事費用の10%を助成します(対象工事は三十万円以上、助成限度額十万円)。

 制度の創設に向けて、全京都建築労働組合(京建労)福知山支部=門野一眞支部長=は二〇〇一年から自治体助成を求める請願署名運動に取り組みました。また、商工会議所とも懇談し、共同して実現をめざしました。京建労と日本共産党福知山市議会議員団(仲林清貴団長、六人)は、先進地の調査も合同で行いました。

 商工会議所は、この制度を応援する特別事業を実施し、利用した人が小売店から三万円以上の物品を購入すれば、一万円の補助金を交付しました。

 住宅改修助成制度は、市の単費事業として〇四年十月から、予算額一千万円でスタートしました。翌〇五年度には、当初予算で一千万円が組まれましたが好評なため、九月議会の補正予算で三千六百七十九万五千円が追加計上されました。

 当初、〇五年度で終了の予定でしたが、市民や業者から大歓迎され、〇六年度も二千万円の当初予算を組みました。市民の申請が相次ぎ、九月議会ではさらに八千四十二万二千円の補正となりました。

 この二年半で申請件数は、一千六百四件、発注された工事総額はじつに二十五億円を突破し、大きな経済波及効果をうみだしました。

 制度創設に向けた党市議団の本会議質問は十回を超え、制度がスタートして以降も、継続を繰り返し求めてきました。

 制度を利用した業者の荻野敏治さん(電気工事業)は、「最近は仕事をしてもすぐに集金ができないことも多いなかで、この制度を利用した仕事では、領収書をだすことで、行政の補助金もでる仕組みなので、集金も早くできて大変ありがたい」「京建労加盟の知人にも制度を紹介することができ、大変喜ばれた」と語っています。

再開を求める

 残念ながら、〇七年度予算に制度を継続させることはできませんでしたが、地域の業者の仕事づくり、住宅や店舗改修の要望実現に大きくつながったことに、関係者のなかには確信が広がり、制度の再開や小規模事業所登録制度の創設を求める声が高まっています。(仲林清貴市議)

地域経済へ波及効果

 京建労・田辺正男委員長の話 京建労では一九九九年から住宅改修助成制度の創設を求める自治体への要請運動を行ってきました。この制度は当初、消費税が3%から5%に改悪されたとき、緊急不況対策として、東京都板橋区でスタートし、関西では兵庫県明石市、京都府では福知山市、網野町(現京丹後市)などで導入されました。

 住民サイドでは、身近な行政が、住まいの改善を直接応援することに、大変喜ばれました。同制度が全国の多くの自治体で運用されるようになって、地元業者が多数参画できるようになりました。地域振興に役立ち、豊かな経済波及効果があることがわかってきました。

 耐震補強、バリアフリー、まちなみ保全、地元林業の振興、CO2削減―など自治体が抱える個別の課題を考えた場合、住まいの改善に関する情報提供と具体的な支援策となる同制度の確立がいっそう必要となっています。


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