2007年4月8日(日)「しんぶん赤旗」
イラク英兵死亡多発
1週間6人
平和団体 即時撤退を訴え
【ロンドン=岡崎衆史】イランに拘束されていた英兵の解放で喜びに沸いた英国で、イラクで相次ぐ英兵死亡に危機感や懸念が広がっています。
解放された十五人の英兵が帰国した五日、イラク南部のバスラで装甲車で巡視中の英兵四人(二人は女性)とクウェート人通訳一人が殺害され、英兵一人が重傷を負いました。道路脇に仕掛けられた爆弾によるものでした。イラクでは一日にも、バスラで巡視中の英兵一人が銃撃で死亡。さらに、同じ地域で二日にも巡視中の英兵が小火器で攻撃され、一人が死亡、一人が負傷していました。同じ週に、立て続けに英兵六人が殺害されたことになります。
イラク戦争開始以来の英兵死者は五日、百四十人に達しました(戦闘によるものは百九人)。
こうした事態について、英インディペンデント紙六日付は「イラクで最悪の死者数を出した週の一つ」と報道。ガーディアン紙六日付は、五人が死亡した五日の事件は「四年前のイラク侵略以後最悪の攻撃の一つだ」と伝え、イラク駐留英軍を対象にした攻撃がエスカレートしていることに警鐘を鳴らしました。
ガーディアン紙はまた、英兵が死亡した場所で、兵士のヘルメットや破壊された装甲車の残がいを手に喜び合うイラク人の写真を一面に大きく掲載し、英軍がイラク住民の憎しみの対象になっている様子を伝えました。
英兵の死亡が相次いでいることについて、平和団体の「戦争ストップ連合」は声明を発表。「若い人の必要のない死は、イラク政策を緊急に転換する必要性を示している。さらなる悲劇を防ぎ、暴力の連鎖を断ち切るにはイラクから軍を撤退させるしかない」として、英軍のイラクからの即時撤退を訴えました。
ブレア英首相は二月二十一日、七千百人いるイラク駐留英軍のうち、千六百人を数カ月以内に撤退させ、夏の終わりまでに五千人未満に削減する計画を発表しました。しかし、完全撤退の期限については明らかにしていません。
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