2007年4月7日(土)「しんぶん赤旗」

民主党・小沢代表就任から1年

「対立軸」路線の内実は…


 小沢一郎氏が民主党代表に就任して、七日で一年になります。自民・公明政権との「対案」路線から、選挙を意識した「対決」路線に転換したとされますが、一連の事態は、自公との真の対立軸をまったく持たない「もう一つの保守政党」「にわか野党」としての姿を鮮明にしています。


格差拡大の責任は同じ

 今年一月、民主党の選挙政策として小沢氏が発表した「『生活維新。』の理念と政策」では、自公政権を「市場原理、自由競争の美名の下に、『強者の論理』、『弱者切捨ての政治』を推し進め…」と批判しています。

 しかし、「市場原理、自由競争」を掲げ、格差拡大の原因をつくってきた責任は、小沢氏と民主党にもあります。

 小沢氏は、一九九三年の著書『日本改造計画』で、「いまこそ規制緩和、規制の撤廃を」とのべ、自公政権の「構造改革」の原型ともいうべき主張を掲げてきました。

 民主党も、格差拡大の最大の原因である労働法制改悪で、九九年に派遣事業を原則自由化した労働者派遣法改悪に賛成したのをはじめ、そのほとんどに賛成しました。

 社会保障では、〇二年に母子家庭への児童扶養手当を最大半額にする改悪に賛成し、〇五年に介護施設の居住費・食費を全額自己負担とする介護保険法改悪にも賛成しました。

 小沢氏は現在、夏の参院選での与野党逆転を至上命令とし、連日のように一人区にテコ入れしています。

 そこでの中心的な政策課題である農業問題では、「政府・自民党の農政の失敗」を批判し、「戸別所得補償制度」の導入を提案しています。

 しかし、コメ輸入自由化を決めたのは、九三年発足の細川連立内閣。その中心にいたのが、新生党代表幹事だった小沢氏本人です。

 民主党も、農業での経営大規模化、株式会社の参入を認める農地法改悪(二〇〇〇年)に賛成しました。

“選挙だけ野党”の無節操

 小沢代表になってから民主党は知事選や政令市長選での自民党推薦候補への「相乗り禁止」を打ち出しました。

 ところが今回の知事選では、三重、福井では自民党とは相乗りです。選挙のときに対立候補を立ててたたかっても、「与党」に逆戻りという“選挙のときだけ野党”という無責任さに批判が集まっています。

 例えば愛知県。二月の知事選で、民主党は「県民の手に行政を取り戻すときだ」(鳩山由紀夫幹事長)と訴えていました。

 ところが推薦候補が敗れ、「野党」となった民主党県議団は二月県議会で、自民・公明推薦の神田真秋知事提出の八十八議案にすべて賛成。

 トヨタ自動車のテストコース建設の造成調査費に十四億三千四百四十万円を支出するなど大企業奉仕の〇七年度予算案に、民主党の片桐清高県議団長は「及第点に届いており一定の評価ができる」と賛成しました。

 山梨県でも、一月の知事選では、民主党は現職の知事候補を応援し、敗北。選挙直後は「常に是々非々の姿勢を堅持し、県政をチェックしていきたい」といっていましたが、二月県議会では、知事が提出した高校授業料値上げなど六十四の議案にすべて賛成しました。宮城県、福島県でも同様の事態です。

 民主党がこういう態度をとるのも、国政同様、地方政治でも福祉・暮らしの予算を削り、巨大開発や大企業への補助金バラマキなど「逆立ち」政治の推進では自民、公明と同じ立場だからです。

「ブーメラン政党」の声も

 自民党のスキャンダルを追及しようとすると、同様のスキャンダルが民主党にも発覚し、批判の矛先がみずからにはねかえってくる―こうした事態が繰り返されることから、民主党には「ブーメラン政党」との名称が新聞・テレビでつけられました。

 佐田玄一郎行革担当相が昨年十二月に、架空の「事務所費」疑惑で辞任すると、今年一月には民主党出身の角田義一参院副議長が政治資金スキャンダルで辞任。「事務所費」問題では、自民党の伊吹文明文部科学相、松岡利勝農水相、中川昭一自民党政調会長らが賃料がいらない衆院議員会館を「主たる事務所」としながら、〇五年の政治資金収支報告書に数千万円の「事務所費」を計上していたことが発覚。すると民主党にも小沢一郎代表が〇五年に不動産取得に使った四億一千五百万円を「事務所費」として計上した問題が出てきました。

 松岡農水相が光熱水費が、ただのはずの議員会館事務所で、〇五年の五百七万円をはじめ、過去五年間で二千八百八十万円も計上し、政治資金規正法の虚偽記載にあたる疑惑が浮上。民主党はこれを追及しましたが、民主党の中井洽元法相に同様の疑いが出て、組織活動費などにつけなおし、訂正しました。

 二日のテレビ朝日系番組では「民主党のブーメラン現象」が話題になったのをはじめ、「民主はブーメラン、自民追及、いつも自分に」(東京新聞三月十六日付)、「民主党のことを『ブーメラン政党』と言う」(産経新聞一月二十八日付)と批判が集中しています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp