2007年4月4日(水)「しんぶん赤旗」
南アジア地域首脳会議開幕
平和・信頼の地域へ
印パ両国が協力を強調
|
【ニューデリー=豊田栄光】第十四回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が三日、インドのニューデリーで二日間の日程で開幕し、各国首脳が対立を乗り越え、平和と信頼の地域機構にむけ前進しようと訴えました。
議長国インドのシン首相は隣国パキスタンとのこれまでの対立問題を念頭に、「私たちの発展の可能性を阻害してきた二国間の政治問題に、加盟国政府が対処していることに希望を感じる。過去を打ち破り、共通の目標実現に向けて手を取り合おう」と訴えました。
パキスタンのアジズ首相は「南アジアを活気に満ち、進歩と繁栄の地域に変えるために、知恵と同様に勇気を示すことは集団的な責務だ。そのためには考えや態度を変えることが求められる」と語り、対立ではなく、対話と協力の深化によるSAARCの発展を強調しました。
SAARCは一九八五年に、インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブの七カ国で発足しました。
発足時に制定されたSAARC憲章は、「国連憲章と非同盟の諸原則、とりわけ主権の平等、領土保全、国家の独立、武力の不行使、他国の内政不干渉、紛争の平和的解決の原則を尊重し、地域の平和、安全、友好、発展の促進を希望する」とうたっています。
しかし、カシミール地方の領有権を争うインドとパキスタンは、九〇年代に武力衝突を含む対立を激化させ、SAARCの活動も停滞していました。
その後、和平対話を前進させるなど印パ両国の関係改善が大きく影響し、SAARCにも新たな発展の展望が出てきています。前回首脳会議(二〇〇五年十一月)では貧困削減基金の設立に合意し、〇六年一月には南アジア自由貿易協定(SAFTA)が発効。地域統合へ向けた歩みを前進させています。