2007年4月4日(水)「しんぶん赤旗」
シリーズ 人間らしくたたかい生きる
医療費減免 利用制限やめて
京都市 国保に冷たい自公民「オール与党」
制度充実へ共産党訴え
高い国民健康保険料と保険証の取り上げによって病院にかかれず命を落とす痛ましい例が相次いでいるなか、喜ばれているのが医療費支払いの減免制度です。京都、広島はじめ各自治体に広がっていますが、自公民「オール与党」の京都市などでは減免制度の拡充を求める市民の請願に背をむける冷たい態度をとっています。「安心して病院にかかれる制度を切り捨てないで」。市民の声が大きくなっています。(竹田捷英)
国民健康保険証があっても病院にかかれば医療費の三割の支払いが必要で、生活困窮者にとって大きな負担です。国民健康保険法は、特別の理由があり医療費が払えない人には、減額や免除できる(四四条)と規定しています。規定に基づき京都府下の自治体が制度を設けています。
最近も、京都市南区のAさん(59)が胃かいようと診断されて申請し、医療費免除が認められました。Aさんは十七年前に交通事故で負った脳挫傷により後遺症をかかえ、傷害厚生年金を受給しています。母親(86)は認知症を発症しています。
Aさんの支援で奔走している叔父(75)は「おいと姉の収入は、合わせて月十四万円程度。食べるので精いっぱいでとても医療費は払えないと思っていたので本当に助かりました」と喜びます。
医療費減免制度は、全京都生活と健康を守る会連合会(京生連)や日本共産党地方議員団の運動で二〇〇三年には、京都府が府内の市町村にたいして住民に「制度はない」との対応はしない、行政手続法に基づく審査基準を備える――ことを助言・徹底しました。
ところが自民、民主、公明の「オール与党」の京都市政は、一昨年、国民健康保険料の仕組みを変え、所得の低い人に重い負担がかかるようにしました。保険料を払いきれない約四千世帯から国保証を取り上げ、資格証明書に置きかえました。
また、医療費支払い減免の制限をしています。同市南区の吉祥院病院(民医連加盟)のソーシャルワーカーの上妻英樹さんは「市の要綱は、保険料滞納世帯に医療費減免はしないとしています。しかも、保険料を分納している世帯まで滞納扱いし、減免を認めません。機械的で冷たい対応です」といいます。
京生連の高橋瞬作事務局長は「国の悪政から住民の命と健康を守るのが自治体の使命です」といいます。いま、たたかわれている府・市議選で日本共産党は、安心して医者にかかれるように、市民の負担を軽くするよう訴えています。一般会計からの繰り入れを増やすなどで国保料の引き下げ、国保証取り上げをやめる、医療費支払いが困難になったときの減免制度の充実を掲げ、実現を訴えています。
京都市の国保医療費減免制度
収入基準
免除…過去3カ月の実収月額が生活保護基準額×120%以下
減額…同じく生活保護基準額の130%以下。医療費の多寡で2割、4割、6割の減額
減免の期間
医師の診断で3カ月以内に治癒見込みの疾病、3カ月の延長がある
手続き
区役所で申請書などをもらい医師の証明書を添付して提出
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