2007年4月1日(日)「しんぶん赤旗」

主張

消費税19年目

そして財界だけが潤った


 消費税の導入から丸十八年がたち、十九年目に入ります。

 安倍内閣と自公両党は、夏の参院選が終わったら消費税を含む税制の議論に着手すると言っています。国民の審判から逃げて、くらしと経済に大きな打撃を与える消費税増税を強行しようとしています。

 政府・与党や財界が消費税増税の理由として強調しているのは社会保障の財源です。生活に事欠く低所得者や子どもまでが大企業の重役と同じ税率で負担する消費税は、貧困と格差を広げる弱いものいじめの福祉破壊税です。社会保障の財源にはもっともふさわしくない税制です。

福祉改悪と表裏一体で

 「社会保障のため」が口実にすぎないことは、国民に「社会保障のため」と説いて消費税を無理やり導入して以来の十八年の歴史に、くっきりと刻み込まれています。

 政府は社会保障の充実どころか改悪に次ぐ改悪を続けてきました。

 例えば消費税を導入した八九年と5%への増税を決めた九四年には年金制度を改悪し、保険料値上げや収入のない学生からの保険料徴収、基礎年金の支給開始の五歳先送りを決めています。増税を実行した九七年には健保の本人負担を一割から二割に倍加しました。最近も、年金支給を抑え毎年保険料を値上げする年金「改革」、医療・介護や雇用、障害者福祉、生活保護など社会保障の軒並みの改悪が続いています。

 小泉・安倍両内閣は、国と地方の社会保障予算を五年間で一・六兆円削減する財政方針を決めています。

 消費税の歴史は福祉切り捨ての歴史と表裏一体です。

 消費税の歴史はまた、相次ぐ法人税減税など財界・大企業の負担軽減の歴史とぴったり重なります。導入以来、来年度予算の税収見込みまでの消費税収は総額で百八十八兆円に上ります。同じ時期に、法人税率の大幅引き下げなどで法人課税の税収は百六十四兆円も減少しています。消費税収の九割が、その穴埋めに費やされたも同然です。

 日本経団連は、法人実効税率をさらに10%引き下げるよう求めています。その財源はどこから、と記者会見で問われた御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は、財源は消費税率の引き上げだと本音を漏らしました。

 力の強い大企業にとって、負担をすべて取引先に転嫁できる消費税は実質ゼロ税率の優遇税制です。財界の主張は「身勝手」を絵に描いたような要求です。財界は企業の国際競争力の強化のためだと言いますが、日本企業の公的負担の重さはフランスの二分の一、イタリアの三分の二にすぎません。

 空前の大もうけを上げている財界が、応分の負担さえ拒んで法外な減税を迫り、居丈高に弱者への負担転嫁を主張しています。日本の財界の退廃は、ここまで進行しています。

増税勢力追い詰めよう

 財界にこんな身勝手を許している最大の責任は政府・与党の異常な大企業中心政治にあります。自民党とともに財界に政策と実績を売り込み、献金をせがんでいる民主党は根本では財界に逆らえません。

 公明党は定率減税廃止と年金増税を四年前の総選挙公約に掲げ、庶民大増税をリードした「増税戦犯」です。九四年に税率5%への増税を決めたのは現社民党の村山首相です。

 消費税増税は国民の生存権にかけられた大規模な攻撃です。財界と腐れ縁を持たず、消費税の導入・増税に常に立ち向かってきた日本共産党と国民の共同で、増税勢力を徹底的に追い詰めようではありませんか。


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