2007年3月30日(金)「しんぶん赤旗」

海外視察報告また丸写し

東京・大田 無断引用「反省」の自民区議

今度はネット事典から 民主党区議も

　海外視察の報告書の半分近くを大学名誉教授の講演要旨からほぼ丸写ししていた東京都大田区の自民党の鈴木章浩区議(都議補選候補)が昨年十月のアメリカ親善訪問・行政視察の報告書でもインターネット上の無料の｢百科事典｣、『ウィキペディア』を丸写ししていたことが二十九日、日本共産党大田区議団の調べでわかりました。

ともに都議補選候補

　渋谷要区議団長（都議補選候補）と区議団が記者会見して明らかにしたものです。

　「おおた区議会年報」二〇〇六年版によると、昨年十月二十六日から十一月二日までアメリカのマサチューセッツ州セーラム市、同ボストン市などに親善訪問・行政視察が行われています。一人あたりの経費は五十七万八千四百四十円。

　〇五年の欧州視察の報告書で盗用疑惑が明らかになった鈴木区議は、「区議会年報」に「ボストン美術館」について二ページ半、九十五行の報告書を出しています。ところが、最後の三行にみずからの感想があるほかは約９７％に相当する九十二行が『ウィキペディア』の「ボストン美術館」の項の丸写しです。

　鈴木区議は自身のホームページに「海外視察報告書無断引用報道の件について」として、「この度のことを良い教訓とし、反省すべきことは反省し、初心を忘れず…」などとしていますが、盗用が一度ならず二度もあったことは、区民の税金を使って行われたものだけに議員の資格が問われるものです。

　また、渋谷氏は昨年十月十七日から二十一日までの北京市の親善訪問・行政視察に参加した民主党の田中健区議（都議補選候補）の「オリンピックを中心にしたまちづくりについて」との報告書も、『ウィキペディア』や、旅行社のホームページなどから三十六行を引用していることを明らかにしました。

　渋谷氏は、「知りえた事実を区民に伝えることは公党としての責任であり、区民の暮らしが大変なときだからこそ、海外視察は中止すべきだという世論をつくっていきたい」とのべました。

　両区議とも三十日に告示される都議補選に立候補を表明しているだけに、「立候補以前の問題だ」と厳しい批判の声があがっています。

（写真）自民党・鈴木章浩大田区議の「報告書」（上）と「ウィキペディア」