2007年3月26日(月)「しんぶん赤旗」
奴隷貿易禁止法制定200周年
政府に謝罪求める
ロンドン
【ロンドン=岡崎衆史】奴隷貿易禁止法制定二百周年を前に、ロンドン市内で二十四日、英国教会主催の行進と集会が行われ、警察発表によると約三千六百人が参加しました。参加者は、過去を反省し、人間へ抑圧を繰り返さないよう訴えました。
参加者は二手に分かれてロンドン南部のケニントン公園まで行進。途中、テムズ川のふ頭では、ロンドンから奴隷貿易に出港した船の数である「二千七百四」を記した花束を小船に置いて犠牲者に祈りをささげました。
集会では、英国教会の宗教上の最高位にあるウィリアムズ大主教が、「今日私たちが行っているのは、奴隷貿易にかかわった人々、非人間的な仕組みを維持していた人々は、あなたや私と同じ人間だったと認めることだ」とあいさつ。奴隷貿易の問題を過去の特別な人たちの問題とせず、現在の問題に対処する糧にするよう訴えました。
英国教会は昨年二月の総会で、自らの奴隷貿易への関与を正式に認めて謝罪。英国教会関連組織は、カリブ海の島国バルバドスの農園に奴隷を保有し、奴隷貿易にかかわっていました。
二十五日の奴隷貿易禁止法議会通過二百周年を機会に、英政府に正式の謝罪を求める動きも強まっています。
リビングストン・ロンドン市長は英紙ガーディアン三月二十一日付に寄稿し、奴隷貿易へのロンドン市の関与を正式に謝罪。さらに、奴隷貿易は人道への犯罪だとして、「英政府は正式に謝罪しなければならない」と訴えました。同市長は、ドイツのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)への謝罪を例に、大昔に起きたことだとして、謝罪を拒否する人々を批判。罪を認め謝罪することは自虐的だとの意見については、「まったくばかげている。自国とその業績への愛情は、事実に基づくものであるべきであり、その否定に基づくべきではない」と反論しました。
ブレア首相はこれまで、奴隷貿易について「深い悲しみ」を表明しているものの、正式な謝罪は避けてきました。
奴隷貿易は十五世紀半ばから十九世紀初頭まで続き、アメリカ大陸に送られたアフリカ黒人は、一千万人から二千八百万人とされます。