2007年3月21日(水)「しんぶん赤旗」
「米軍駐留で治安悪化」7割
イラク国民に不信広がる
英BBC発表
【ロンドン=岡崎衆史】イラク戦争開始四周年を前に、英BBC放送は十九日、イラク全土で二千人を超える人を対象にした世論調査の結果を発表しました。それによると、米軍が治安を悪化させていると考える人は七割近くに達し、八割を超える人々が不信を抱いていることが明らかになりました。また、イラクの現状と将来を悲観的にみている人が増えていることが分かりました。
調査によると、米軍駐留が治安を悪化させていると考えている人は69%、治安を改善させているとみる人はわずか21%でした。また、米英両軍を極めて信頼している、かなり信頼していると答えたのは18%、あまり信頼していない、全く信頼していないとした人は82%に達しました。
さらに、生活上のトラブル回避策についての質問に、最も多い46%の人が「米軍や他の連合軍を避けている」と回答しました。
こうした日常は、米軍などへの憎しみを強め、同軍への攻撃を正当化させています。連合軍への攻撃を「容認できる」とした人は51%。二〇〇四年に攻撃を容認していた人はわずか17%でした。
占領軍の即時撤退を求める人は、〇五年の調査の際26%だったのが35%に増加しました。
一方、現在の生活を非常に良い、やや良いと感じている人は〇四年に70%だったのが、大幅に下がり39%となりました。〇三年のイラク戦争開始前と現在の生活を比べて非常に良い、やや良いと答えた人も、〇四年の57%から43%に下落。将来の生活について非常に良くなる、やや良くなると考える人も、〇四年の71%から35%に急落するなど、イラク国民の多くが現状と将来に悲観していることを浮き彫りにしました。
将来、自身もしくは家族が暴力の犠牲になると懸念している人は88%でした。
一方、米英軍のイラク侵略そのものについて、完全な間違い、やや間違っていると答えた人が53%に達し、〇四年の39%から増加しました。
調査はイラクの全十八州の四百五十カ所を超える地域で、二月二十五日から三月五日まで実施されました。BBCのほかに、米ABC放送やUSAトゥデー紙、ドイツのARD放送が共同で行いました。
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