2007年3月20日(火)「しんぶん赤旗」

主張

イラク開戦4年

自衛隊をただちに撤退させよ


 アメリカがイラク攻撃を開始してから二十日で四年になりました。イラクが大量破壊兵器を持っているとうそをいってイラクに攻め入ったこの不法な戦争は、二十万人以上ともいわれる死者をだし、数百万人を避難民にしています。イラクは政府を発足させたものの、宗派間対立や治安が悪化し復興もままならない泥沼状態です。この責任が軍事力でイラクを支配しようとしたブッシュ大統領にあることはあきらかです。

 イラク開戦を支持し、自衛隊を派兵して米軍作戦を支援し続けている日本政府の責任も根本から問われています。

無差別攻撃を後押し

 イラク戦争はブッシュ政権がイラクのフセイン政権を倒す目的ではじめた侵略戦争です。国連憲章のもとで許されない軍事覇権主義です。国連安保理事会は開戦を認めませんでした。圧倒的な国々が反対し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の少なくない国が戦争協力を拒否したのもそのためです。

 にもかかわらず小泉首相(当時)はいち早く開戦を支持したのです。これは国連憲章にもとづく平和秩序よりも「日米同盟」を最優先した重大な誤りです。日本は過去の侵略戦争を反省し、憲法で戦争を禁止した国です。その日本の政府が戦争のない世界をめざす国連憲章をふみつけにしたのは重大です。

 安倍首相も小泉前首相と同じ誤りを続けています。ブッシュ大統領が一月に発表した軍事力強化で抵抗運動を一掃する新政策について、「良い成果をあげることを期待する」(一月三十日参議院本会議)とのべ、二月に来日したアメリカのチェイニー副大統領に対しても新政策への支援を表明しました。安倍首相の態度は、アメリカ議会のなかでさえ米軍撤退が大問題となり、軍隊を送ってアメリカのイラク政策を支援してきた国が次々に軍隊を撤退・縮小しているなかで、きわめて異常です。

 陸上自衛隊の撤退と引き換えに、昨年七月以来バグダッドにまで輸送先をのばした航空自衛隊は、米兵・軍事物資を空輸することによって、新たな米軍攻撃作戦を支える役割を果たしています。昨年九月以降の空輸実績のうち、七―八割が多国籍軍=米軍のための輸送です。航空自衛隊の空輸が米軍の戦闘作戦を促進させているのはあきらかです。

 航空自衛隊の空輸活動は法的にも許されません。米軍の「武力行使と一体化」した自衛隊の活動は憲法違反(一九九〇年十月二十六日政府統一見解)であり、自衛隊の活動は憲法違反であることは明白です。イラク特措法は「戦闘行為が行われていない」地域での活動しか認めておらず、バグダッドへの空輸は違法です。

 空輸はまた、米軍のイラク人無差別殺りくを助長します。人道的見地からも米軍支援は許されません。軍事力ではイラク問題を解決できないのはいまや明白です。イラク情勢を悪化させる米軍作戦に手を貸すことはやめるべきです。

特措法延長をやめよ

 政府は七月に期限が切れるイラク特措法を二年間延長し、七月以降も航空自衛隊の米軍支援を続けるつもりです。しかし、世論調査(「朝日」十五日付)でもイラク特措法延長に69%が反対しています。75%がイラク戦争を「誤りだった」としています。政府はこれ以上、誤りを重ねるべきではありません。

 政府にイラク特措法の延長を断念させ、ただちに自衛隊を撤退させることが必要です。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp