2007年3月19日(月)「しんぶん赤旗」
「オール与党」対共産党
13知事選の基本構図
にわか「対決」民主 どこでも矛盾
22日告示
十三の都道県知事選が、二十二日告示、四月八日投票で行われます。日本共産党はすべての選挙で推薦・公認候補を立ててたたかいます。民主党は、自民党との「相乗り禁止」を打ち出し、「対決姿勢」「野党ポーズ」をとっていますが、大半の地方議会で自民、公明などと手を組むれっきとした与党。国民を欺く不誠実な態度は、どこでも矛盾を広げています。
「対抗馬を立てるよりも、現職がしっかりやればいいという思いで候補を立てなかったところもある」。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、民放のテレビ番組(十一日)でこうのべました。
十三の知事選のうち、民主党が自民党と、ともかくも「対立」するのは五都道県にとどまっています。残る八県では、自民・公明と「相乗り」するか、候補擁立を見送っています。(表参照)
■「珍解釈」
福井県と三重県では、「オール与党」相乗りになりました。
福井の民主党は、現知事推薦を決めた会見で「前回は、民主が真っ先に西川氏(現知事)を推薦した経緯があるし…むしろ、西川氏は(自民党より)私たちの候補との思いがある」(福井新聞、二月二十五日付)と心情を吐露しました。
民主党県連は、自民党県連が同知事推薦を決めるわずか一日前に党本部に推薦を上申。「自民党が相乗りしてきた」形をつくりました。
三重県ではいち早く現知事を推薦、後に自民党も同知事を推薦しました。民主党県連代表は、「自民党が擁立した候補に民主党が相乗りしないというのが相乗り禁止」だと苦しい言い訳。これには地元紙も「珍解釈」(伊勢新聞、〇六年十二月二十四日付)と批判しています。
■必要ない
六県では、民主党は独自候補を擁立できずじまいです。
大分県では、独自候補擁立に向けた積極的な議論はなく、県連代表は六日の擁立見送りの会見で「(現知事の)四年間を検証したうえで、あえて対立候補を立てる必要は感じなかった」とのべました。
奈良県でも候補者擁立に迷走したあげく、断念しました。西ふみ子氏(共産党推薦)の出馬表明をうけ、民主党県連会長は「県民の一人として歓迎する」(奈良新聞、二月十四日付)とコメント。地元紙は「16年ぶり自共対決」と大きく報じました。
島根県も独自候補を断念。「自民勢力と、それに支えられた県政に対する対立軸を打ち出すことはできなかった」(中国新聞、三月一日付)と報じられました。
■なぜ賛成
民主党の「対立」候補がいるところの矛盾は深刻です。
都知事選を前にしたにわか「野党」ポーズに、石原慎太郎知事から「ならば今までなぜ都が提案した提案に民主党はすべて賛成をしてきたのか」と皮肉られたのは都議会民主党。
福岡県でも、三期十二年、現知事を推薦、この四年間は自公とともに、知事提案に100%賛成してきました。議会で「大きな失政はなく…及第点に達している」(二〇〇六年十二月議会)と知事を評価、独自候補を擁立したあとでも来年度予算案に賛成しました。これでは何のための独自候補かわかりません。地元メディアも「対立軸みつけにくい」(西日本新聞、二月二十二日付)と疑問の声を投げかけています。
十三の都道県では、大型開発優先、くらし・福祉を切り捨てる自民党型の「逆立ち」政治が行われています。
マスメディアは「二大政党対決」の構図をそのまま知事選に持ち込み、あおりますが、真の対決構図は「オール与党」陣営と、自民党政治と正面から対決する日本共産党の推す候補との対決であることがうきぼりになっています。
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