2007年3月18日(日)「しんぶん赤旗」

政務調査費の一部返還を求めた監査結果について

日本共産党新宿区議団が見解

(要旨)


 東京都新宿区監査委員は三月十二日、日本共産党新宿区議団が二〇〇五年一月から〇六年三月までに人件費として支出した政務調査費の一部を返還することを区長に勧告しました。これにたいして、党新宿区議団は十七日、監査結果を詳細に検討したうえ、「問題にしている人件費は、新宿区の条例と規則にそって適正に支出されており、監査委員の勧告はまったく不当なもの」とする見解を発表しました。見解(要旨)は次の通りです。

1、政務調査費は、調査・研究を補助する常勤職員の雇用のために適正に支出してきた

 私たちは、住民要求を実現するために多岐にわたる調査・研究活動をすすめています。この活動は、前回区議会議員選挙いらいの四年間だけをみても、十八回の条例案と四回の予算修正案を提出したとりくみなどにいかされ、小中学生の医療費無料化(今年十月実施)をはじめ、区立幼稚園・小中学校へのクーラーの設置、特別養護老人ホームの新設、木造住宅の耐震補強工事の助成、商店街の街路灯電気代助成の大幅な拡充などにみられるように、確実に実をむすんでいます。これらは、私たち議員と政務調査費で雇用した常勤職員がいっしょになって調査・研究にとりくんだことによる成果です。

 政務調査費は、地方自治法に「その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部」と定められ、これにもとづき新宿区では、条例と規則・規程で「使途基準」を定めています。この「使途基準」では、「人件費」として「会派が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費(給料、手当、社会保険料、賃金等)」と定められています。今回、監査の対象となった人件費は、この規定にもとづいて日本共産党新宿区議団が、その調査・研究の補助のために雇用した二人の常勤職員の給料、通勤交通費手当、夏期・冬期一時金、社会保険料雇用主負担分として支出した経費です。

 私たちは、調査・研究を補助する常勤職員の雇用のために、政務調査費を条例と規則・規程にもとづき適正に使用してきました。そのことは新宿区議会事務局も、今回監査委員が実施した聴取のなかで「使途基準に反するとは言えない」と明快にのべています。

2、常勤職員の業務は、政党の日常業務などとは区別してきた

 今回の監査結果は、「調査研究補助職員を常勤で雇用し、同職員が一日実働七時間、週五日を会派控室で勤務する場合、一般的には、調査研究補助業務のみならず、それ以外の業務も行っていたのではないかという疑念を抱かざるをえない」としています。

 監査結果が、「雇用された時間内に、政党活動あるいは政治活動に係る業務も行っていた」という「疑念」の論拠としているのは、二点です。一つは、党議員団が税務署長あてに提出した書類の「事業の種類」欄に、「政党事務局」と記載していることです。監査結果は、このように記載していることは、党議員団自身が「会派と政党の別について明確な認識がなかった」ことをしめしているとしています。

 しかし、税務署長あての書類は、雇用主としての日本共産党区議団が提出したものです。日本共産党という政党の議会会派が事務局員として雇っていることを明らかにしているにすぎません。

 私たちは、税金を原資とする政務調査費で雇用した常勤職員が行う調査・研究の補助業務と、選挙活動などの政党としての日常業務とを区別してきました。

3、党規約の誤った勝手な「解釈」は、監査結果の論拠としてなりたたない

 監査結果は「疑念」の二つ目の根拠を示すために、日本共産党規約第四十四条を意図的にねじまげ、議員団をそれぞれの地域で党を代表する新宿地区委員会などの「党の機関」と同じだとしています。「『議員団』という名称が、会派と党の機関に共通なものとなっている」としたうえで、「区議団事務局長という肩書きは、会派の調査研究補助職員としての肩書きであると同時に、党の機関である議員団の事務局長を含むと見ることもできる」というのです。

 日本共産党の党規約では、国会議員団、地方議員団について、第九章で「被選出公職機関の党組織」として、党の指導機関である中央委員会、都道府県委員会、地区委員会と明確に区別しています。そして、第四十三条では国会議員団の任務について、「国民の利益をまもるために」「国政の討論、予算の審議、法案の作成」「(国民の)要求の実現につとめる」「国民にたいして、国会における党の活動を報告する」ことを規定し、第四十四条では地方議員団の任務について、「第四十三条の国会議員団の活動に準じて、地方住民の利益と福祉のために活動する」こと、「対応する指導機関の指導のもとに活動する」(新宿区議団の場合は新宿地区委員会)と明記しています。

 このように議員団と党の機関を明確に区別している党規約の誤った勝手な「解釈」を監査結果の論拠にするのは、監査委員の見識が問われます。

4、常軌を逸した監査結果に区長は応えるべきではない

 今回の監査結果は、恣意(しい)的に「疑念」をもちだし、条例や規則が守られているかどうかを基準に実施されるべき監査のあり方の原点から逸脱したものです。また、政党人が「議員団事務局長」の肩書きを持てば、政務調査費の一部返還の対象になるという主張は、政党人が政務調査費によって調査・研究を補助する業務に携わることを困難にしてしまい、区議会の自律的な活動を侵害するなど、監査委員の権限を逸脱しています。こんな不当な監査結果は、絶対に許されるものではありません。

 日本共産党新宿区議団は、今後も、旺盛な調査・研究活動を土台に、住民の要求実現のために全力を挙げるとともに、政務調査費の使途の透明性を高めるための改善策を積極的に提起するなど、「区民の利益と福祉が第一」を信条に奮闘する決意をあらためて表明するものです。



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