2007年3月17日(土)「しんぶん赤旗」

志賀原発の臨界事故隠し

2号機増設の直前

地元了承への障害回避か


 北陸電力志賀(しか)原発(石川県志賀町)1号機で臨界事故が起きたのは、2号機増設の是非が問題になり、同電力が地元自治体の了承を得る直前だったことがわかりました。北陸電力は2号機建設計画にストップがかかるのを避けるため、臨界事故を隠した可能性が浮かび上がってきました。


 臨界事故が起きたのは一九九九年六月十八日、ちょうど2号機増設が問題になっている時期でした(表)。同年四月には、国が増設を許可。臨界事故から一カ月半後の同年八月に、石川県、志賀町、富来町(とぎまち=二〇〇五年に志賀町に合併)が2号機増設を了承しています。北陸電力は同月中に2号機建設に着工しました。

 2号機増設には住民らの反対運動が起きていました。同年八月には、2号機の建設差し止めを求める訴訟も起こされています。この訴訟はその後、運転差し止め請求に変更され、金沢地裁は昨年三月、耐震設計に欠陥があるとして、運転差し止めを命じる判決を出しています。

 もし、臨界事故が明らかになっていれば、県や町がすんなり増設を了承することはなく、その時点で、2号機増設計画はストップしていたとみられます。

 臨界事故の四日前には、1号機の非常用ディーゼル発電機でひび割れが見つかったことを公表しています。臨界事故を意図的に隠したことは明らかです。

 また、志賀原発1号機の臨界事故から三カ月後には、茨城県東海村で二人が死亡、多数の住民が被ばくする臨界事故が起き、原子力の安全管理が大きな問題になりました。北陸電力は、このときも口をつぐんでいました。


臨界事故隠しの前後の出来事

1999年

 4月14日 志賀原発2号機の増設を国が許可

 4月29日 1号機の定期検査を開始

 6月14日 1号機非常用ディーゼル発電機のひび割れを発表

 6月18日 臨界事故が発生

 8月3日 石川県、志賀町、富来町が2号機増設を事前了解

 8月27日 2号機増設に着工

 8月31日 周辺住民らが2号機建設差し止めを求めて提訴

 9月30日 茨城県東海村で臨界事故


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