2007年3月16日(金)「しんぶん赤旗」
大日岳訴訟
「速やかに和解を」
井上議員 文科省に謝罪求める
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国が主催する冬山研修会で起きた死亡事故の責任を遺族が問う大日岳遭難事故裁判の控訴審で、十二日に名古屋高裁金沢支部が出した和解勧告を受けて、日本共産党の井上哲士参院議員は十五日の参院文教科学委員会で「速やかに和解し、遺族に謝罪を」と国に早期解決を求めました。
井上議員は「裁判所の勧告は、いたずらに裁判を引き延ばすことなく、誠意をもって和解をという趣旨だ。国の過失を認めた一審判決を受け入れ、事故の教訓を安全登山に生かすべきだ」とただしました。伊吹文明文科相は裁判や和解勧告も承知しているとして「関係省庁と協議をして、裁判の経緯や論点を詰めた上で判断したい」と述べました。
また、井上議員は同省登山研修所が山岳遭難防止に果たしてきた役割を強調。事故以来、中断している冬山研修について「登山を学ぶ国の唯一の機関。登山界からも要望が出ている」と再開を求めました。文科省の樋口修資スポーツ青少年局長は「事案が終結したあかつきには、事故の再発防止策を行い、速やかに再開したい」と答えました。
同事故は北アルプス・大日岳の頂上付近で二〇〇〇年三月、登山研修所の学生冬山リーダー研修会中に雪庇(せっぴ)の崩落に巻き込まれて大学生二人が死亡したもの。国は予測できない事故だったとして責任を認めず、遺族に謝罪もしていません。一審の富山地裁は昨年四月、遺族の主張をほぼ認めて約一億七千万円の支払いを命じる判決を下していました。