2007年3月16日(金)「しんぶん赤旗」

主張

光熱水費疑惑

かばうごとに不信が広がる


 家賃も電気代や水道料も要らない国会の議員会館に資金管理団体の「主たる事務所」を置きながら、巨額の事務所費ばかりか光熱水費まで支出に計上していた松岡利勝農水相の政治資金収支報告書をめぐる疑惑に、批判の声が相次いでいます。

 重大なのは、松岡氏が疑惑の解明にまったく背を向けているだけでなく、閣僚に任命した安倍首相がその松岡氏の肩を持って、かばい続けていることです。これでは首相も同罪ということになります。首相がかばえばかばうほど、国民の不信が広がることになります。

虚偽記載は明確な犯罪

 松岡氏が総務省に届け出た報告書によれば、松岡氏の団体の光熱水費は直近の二〇〇五年で約五百七万円、団体の事務所が議員会館に置かれた一九九五年からの合計では約四千四百八十万円もの巨額に上ります。議員会館は電気代も水道代もかかりません。松岡氏は国会で、「何とか還元水」や「暖房なりなんなり」に使ったようにいいましたが、毎年数百万円もの支出がそれで説明がつくわけはありません。実際、議員会館に団体の事務所を置く議員も三分の二は光熱水費をゼロと届け出ています。松岡氏の報告は異常です。

 松岡氏には家賃がかからない議員会館に事務所を置きながら、十一年間で合計一億八千七百万円以上を事務所費として計上していた疑惑もあります。この問題でも松岡氏は、一切説明を拒否しています。

 政治資金規正法によれば、事実を偽って届け出る虚偽記載は三年以下の禁固あるいは五十万円以下の罰金という犯罪です。松岡氏も任命権者の安倍首相も、法律をつくる国会議員や法律にもとづき行政を執行する閣僚が、法律を踏みにじり、犯罪の嫌疑がかけられていることを深刻に受け止める必要があります。

 松岡氏の疑惑と相前後して、民主党元副代表の中井洽議員(元法相)が慶弔の花代などを光熱水費に付け替えて届け出ていた疑惑も明らかになりました。こうした疑惑も徹底して解明されなければなりません。

 自らにかけられた疑惑は、自ら解明するというのが倫理綱領でも定められた国会議員の責任です。「法律にもとづき適切に処理している」という発言を繰り返すだけで疑惑については説明しない松岡氏の態度は、まったく誠実さのかけらもありません。松岡氏は保管が義務付けられている領収書などを公開し、国会での証人喚問にも応じて、疑惑にこたえる責任があります。自民・公明の与党が、松岡氏への証人喚問要求をつぶそうというのはもってのほかです。

 松岡氏に疑惑をただそうともしない安倍首相の態度も重大です。閣僚を任命した首相には疑惑を解明させる責任があります。首相は直ちに松岡氏に疑惑をただすとともに、疑惑の解明に背を向け続けてきた松岡氏を大臣から罷免するのが筋です。

規範意識は内閣にこそ

 それにしても、松岡氏や伊吹文科相の事務所費疑惑をかばい、柳沢厚労相の「女性は産む機械」発言をかばい、いままた松岡氏の光熱水費疑惑をかばう―安倍首相の態度は政治への不信を広げるばかりです。

 安倍首相は、改悪教育基本法の審議にあたり、口を開けば「規範意識を」と強調しましたが、いまもっとも規範意識に欠けるのは首相とその内閣といわれても仕方がありません。

 政治の大原則は「信なければ立たず」です。国民の不信を広げるだけなら政治を担う資格をなくすることを、安倍首相は肝に銘じるべきです。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp