2007年3月16日(金)「しんぶん赤旗」

99人が孤独死

民医連調査 低所得者ほど孤立

昨年1―9月


 全国約千七百の病院や診療所などが加盟する全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は十五日、東京都内で記者会見を行い、昨年一―九月に、だれにもみとられずに死亡した独り暮らしの患者が少なくとも九十九人にのぼり、その多くが生活保護受給者など貧困世帯に属する人たちであったとする「孤独死実態調査」を発表しました。

 それによると、孤独死した九十九人のうち、男性が七十二人と全体の約七割。生活保護受給者(申請中含む)が全体の約四割にあたる三十七人いるなど、独り暮らしの高齢の男性で、所得の低い人ほど孤独死の危険性が高いことが浮き彫りになりました。

 また、退院後から約一週間前後に死亡したと推定されたケースが六人いたとして、全日本民医連は「医療改悪の中で、病院は平均入院期間の短縮を強いられている。そのため、完治しないのに退院させざるをえない事例が増えていることが要因としてあると思われる」と指摘しています。

 全日本民医連はあわせて、約二万人を対象にした「高齢者生活実態調査」と、国民健康保険証を取り上げられたために受診が遅れ、二〇〇五年一月―〇七年二月に死亡したなどの二十九事例にかんする「国保死亡事例調査」の結果も公表しました。

 このうち、「高齢者生活実態調査」は、二万五百二十一人の高齢者から回答を得ました。

 「ほとんど外出しない」「まったく外出しない」と答えた高齢者が、月五万円未満の収入層では四割を占めるなど、低所得者ほど社会的に孤立している実態が明らかになりました。

 記者会見した全日本民医連の肥田泰会長は「このままでは、孤独死問題が深刻化する可能性がある。医療や介護から疎外されている人をつくらない施策や、社会連帯の取り組みが強く求められている」と語りました。



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