2007年3月15日(木)「しんぶん赤旗」

国会の視点

松岡農水相の光熱水費問題

証人喚問に踏み出せ


 松岡利勝農水相は「光熱水費」問題で、疑惑を払拭(ふっしょく)する努力をするどころか、真相解明に背を向けるきわめて不誠実な態度をとっています。

 今回の疑惑は、「光熱水費」を名目に政治資金を私的に流用したのではないか、架空経費や他の経費を計上したのではないかというものです。この場合、政治資金規正法の虚偽記載にあたり、「三年以下の禁固または五十万円以下の罰金」が科されます。閣僚が犯罪行為の疑いを持たれているという重大問題です。

 松岡氏の資金管理団体の「主たる事務所」は議員会館にしかありません。議員会館の光熱水費は無料です。同じく議員会館に資金管理団体の事務所をもつ菅義偉総務相の「光熱水費」はゼロです。それなのに、松岡氏は二〇〇五年の五百七万円をはじめ、過去五年間で約二千八百八十万円もの光熱水費を計上しています。

 「別に使ったものを領収書が要らないので、(光熱水費に)投げ込んでいるという疑いがきわめて濃い」(日本共産党の市田忠義書記局長、十一日のサンデープロジェクト)のです。

 おりしも民主党の中井洽元法相の資金管理団体が、別項目に記載すべき花代やタクシー代などの経費を光熱水費に付け替えていた虚偽記載が判明したばかりです。〇一年からの五年間で千八百五十万円もの光熱水費を計上していました。

 後ろめたい支出を隠すために「光熱水費」を利用したという政治資金規正法違反の疑いをかけられている以上、松岡氏には、真相を語ってもらわなければなりません。

 松岡氏は、国会答弁でいったんは「きちっと確認してこたえたい」と約束していました。ところが回答するどころか、「必要な報告はしている」「適切に報告している」と繰り返すばかりで、詳細な説明を拒否しています。こともあろうに、説明を拒む理由に政治資金規正法まで持ち出しています。政治資金の透明性の確保を厳しく求めている規正法を不明朗な経理の隠れみのにすること自体、法の精神をまったく理解していないものです。これだけでも、松岡氏が閣僚の資質に欠くことは明らかで、罷免にすべきです。

 ところが、内閣の責任者として疑惑の解明にあたるべき安倍晋三首相は、何らの指導力も発揮していません。むしろ、「(松岡氏は)適切に報告している」とかばうばかりです。

 松岡氏の資金管理団体には「事務所費」問題も未解明のまま残っています。家賃のいらない議員会館を事務所にしながら、毎年二千万円―三千万円の事務所費を計上していた問題です。

 松岡氏本人が説明を拒み、内閣も解明に動かないなら、犯罪行為の疑惑を持たれている松岡氏に対し、偽証罪が適用される証人喚問を実施して、国会の場で真相を解明するしかありません。

 日本共産党など野党側は松岡氏の証人喚問を要求しています。自民、公明両党は、真相解明に背を向けるのではなく、ただちに証人喚問の実現に踏み出すべきです。(小林俊哉)



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