2007年3月15日(木)「しんぶん赤旗」
都知事選をどうたたかうか
CS放送「各党はいま」
志位委員長が語る
日本共産党の志位和夫委員長は十三日放映のCS放送・朝日ニュースターの番組「各党はいま」に出演し、東京都知事選、国会論戦などについて、朝日新聞の坪井ゆづる論説委員の質問に答えました。そのうち都知事選にかかわる部分の要旨を紹介します。
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石原知事と「オール与党」の“三つの大罪”に審判を
――都知事選にむけどういうとりくみを。
志位 石原都政八年間への審判を訴え、吉田万三候補の勝利のために全力をあげているところです。
この選挙では、石原都政の“三つの大罪”が問われています。
一つは、都民が革新都政時代につくりあげた福祉の施策を根こそぎ切り捨て、臨海開発、高速道路、オリンピック招致を口実にした開発仕事のためのため込みなどにお金をそそぎこむ「逆立ち」都政を極端にひどくした。
二つ目は、「日の丸・君が代」の無法な強制に象徴される憲法と民主主義を破壊する政治を都政にもちこんだ。
三つ目に、(超豪華海外視察など)ひどい都政の私物化です。
同時に、この大罪を犯してきた石原都政を支えてきたのは、共産党以外の自民、民主、公明の都議会「オール与党」です。石原知事の暴政とその共犯者である「オール与党」への審判をくだす選挙にしていきたい。
無党派の方々と唯一の野党である日本共産党が共同して推薦している吉田万三さんこそが、都政転換を担いうる唯一の候補者です。勝利のために力をつくしたい。
「石原対浅野」をあおるマスメディアの見識が問われる
――都政私物化を共産党が追及してきたのに、浅野さんが出てきて、石原対浅野というように見えてしまっているのですが。
志位 それは、あなた方があおっていることでしょう。中身ぬきに、ただ「なんとなくよりまし」という雰囲気をつくって、「対決」をあおるというのでは、私はメディアの見識が問われると思います。
浅野さんについていいますと、私は四年前、宮城に県議選の応援にいったことがありますが、結論は「自民党以上に自民党型の知事」ということでした。
たとえば福祉の切り捨てです。介護保険を導入したことを口実に、敬老金とか介護手当など福祉給付的な施策をことごとく切り捨てる。「施設から在宅へ」という掛け声で、特別養護老人ホームなどへの県の独自補助金を減らして、整備をうんと遅らせてしまった。
この前の(出馬)会見で浅野さんは、「石原都政で介護保険三施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群)の(人口あたり)定員数が全国四十七都道府県で最下位だ」と大問題にしました。ところが自分がやってきた宮城県は四十位です。四十位が四十七位を笑えるか。私は、何と無責任なことをいう人かと思いました。
「地方分権」というが、国いいなりで福祉切り捨てと巨大開発
――浅野さんは厚労省の官僚だったから、福祉に関しては手厚いという印象がありますね。
志位 これはまったく違います。「福祉日本一の宮城をつくる」といったけれど、事実はいま述べたとおりです。前の自民党知事も「これだけは絶対にやらない」といってきた、滞納者からの国保証とりあげもすすめた。「地方分権」というが、国いいなりに冷酷な切り捨てをすすめた。
巨大開発という点でも、石巻港に巨大な埠頭(ふとう)と防波堤をつくって、数千億円というお金を入れる。それで借金を倍にしてしまった。そのことを指摘されると、「国が景気対策で公共事業を積み増せといったのでやったのだ」という。ここでも国いいなりです。よくそういう人が「地方分権」というと思いますよ。
自治体をはかるモノサシというのは、住民福祉のための仕事をちゃんとやっているかどうかなのです。石原さんと浅野さんの対照表をつくったら、うり二つになる。「よりまし」とは言えません。
勝敗をきめるのは都民の審判――メディアは公正な報道を
――なるほど。きびしいですね。
志位 もっとメディアも、真実を報道すべきです。雰囲気だけでなく、自治体にとって肝心要の問題――福祉切り捨て、巨大開発にお金をつぎこむ、私たちは「逆立ち」といっているけれども、そこをもっと冷静にメディアも報じるべきだと思います。無理やり、「(石原・浅野氏の)二人しかいない」、「あとは選択の外だ」ということでは、公正な報道とはいえません。
――なるほど。メディアとして「この二人しかいない」という報道をしている……。勝ちそうなところに注目が集まってしまう。現段階では吉田さんが勝ちそうなところにいるかといわれると、これはどうなんでしょうか。
志位 勝つかどうかは都民が決めることです。それを勝ちそうだ、負けそうだということで、最初からメディアが決めてしまうというのは、メディアの傲慢(ごうまん)です。私たちは勝利をめざして全力をつくします。