2007年3月14日(水)「しんぶん赤旗」
主張
教育関連法案
改悪教育基本法の具体化やめよ
改悪教育基本法を具体化するための法案(学校教育法など四つの法律の改定)が今月中に国会に提出されようとしています。安倍首相の性急な指示によるものです。
検討されている法案は、国の権限をつよめ、徹底した教員統制をはかり、「愛国心」教育など特定の国家観に基づいて、子どもを鋳型にはめこむ流れをつくろうというものです。
教員、子どもへの命令法
安倍首相は、反対論がつよく中央教育審議会では結論が出なかった、文部科学大臣の教育委員会への関与を、法案に盛り込むように指示しました。これは、教育委員会に今日なおつよく残る、上の指示優先、子ども・住民不在の風潮を助長するだけです。
いま教育委員会に必要なのは、上からの圧力ではなく、子どもや保護者、教職員、住民の意見をくみとる民主的な姿勢です。
首相は、子どもの生命等にかかわる緊急の場合、教育委員会への関与が必要と言いますが、それなら、すでに地方自治法に必要な規定があり、新たな立法はいりません。
教員への統制も重大な問題です。
法案は、副校長、主幹、指導教諭を新設するといいます。管理職をふやして教員への統制をつよめようというものです。
いち早く主幹を導入した東京都では、校長ら経営層が教育方針を考え、その方針を主幹らが指導監督して、一般教員に実践させるという、命令による教育がつよまりました。
教育の営みは、子どもと教員との人格的接触をつうじて行われる文化的営みであり、上からの命令ですすめられるものではありません。
教員免許更新制は、十年ごとに免許を失効させ、更新には国が関与する講習の「修了」が必要というものです。これも、教員統制の手段となりかねません。
こうした上からの圧力を一身にうけるのは子どもたちです。
法案は、義務教育の「目標」を書き込み、「国を愛する態度」など数多くの「態度」を身につけることを盛り込もうとしています。
文部科学省は、教育基本法二条(教育の目標)に同様の規定があるといいますが、教育基本法二条こそ国会審議で子どもの内心の自由を侵す憲法違反の条項として問題となったものです。
その結果、政府は「愛国心通知表」を事実上、撤回せざるをえませんでした。それをふまえれば、教育基本法二条をそのまま学校の具体的目標にすべきでないことは明らかです。
すでに行政の指導で、「黙って最後まで掃除する子を80%」「(道徳の時間の)価値項目を自己の生き方に結び付けて考える児童を80%」達成など、子どもの態度を数値目標化して押し付ける動きがおきています。「ほかの歌では見ないのに、『君が代』の時だけは、僕たちの口が開いているかどうか見てまわる」など「日の丸・君が代」の強制も深刻化しています。
子どもの態度や内面にたいする行政の干渉は、子どもの心を傷つけ、子どもののびやかな成長をうばう最悪のやりかたです。
憲法に基づく教育を
国民がねがっているのは、子どもの笑顔を最優先に、子どもとともに悩み、励ましあうことができるような教育です。
私たちは、法案の国会提出につよく反対し、憲法に基づき、一人ひとりの子どもが大切にされる教育のために、全力をあげます。