2007年3月13日(火)「しんぶん赤旗」
改憲手続き法案
首相、今国会成立に執着
世論の批判で“5月3日こだわらず”
安倍晋三首相は十一日のNHK番組で、九条改憲と地続きの改憲手続き法案について、「二十一世紀にふさわしい国づくりの礎をつくるためにも憲法を改正していく必要がある。そのために、まず国民投票法案を通し、国会として義務を果たしていく」と述べ、今国会成立に執着する姿勢を改めて強調しました。
一方で、「法律は成立するかしないかだから、(五月三日には)私はそんなにこだわっていない」とのべ、五月三日までに成立をと繰り返してきたこれまでの態度を変え、期限にこだわらない考えを示しました。同法案をめぐる与党の強硬姿勢に対する国民の批判の前に軌道修正を余儀なくされた格好です。
同法案をめぐっては、「五月三日までに成立を」との首相指示を受けて、与党が単独採決で月内衆院通過をはかる方針を固めたことから緊迫。八日には、衆院憲法調査特別委員会で、採決の前提となる公聴会設定のために、委員長の職権で委員会開会を強行しようとして失敗し、流会する事態になりました。
同特別委のメンバーには千通を超える抗議や慎重審議要請のファクスなどが集中、国民的批判の強さを示しました。このため、公明党などは「選挙が近いので慎重に」と求めざるをえない状況が生まれました。
自民・公明と「合作」で手続き法整備の議論をすすめてきた民主党からも「首相が前に出すぎだ」「(安倍氏とは)一緒にやれない」などの意見が飛び出しています。
与党は改めて日程協議をするために、今週前半にも衆院憲法調査特委の理事懇談会を開きたいとしていますが、首相発言で不透明さが増してきました。