2007年3月11日(日)「しんぶん赤旗」
憲法がカネで変えられる
改憲手続き法案 メディア関係者ら集会
安倍内閣が五月にも成立を目指す改憲手続き法案の問題点を考える集会「国民投票法案の『カラクリ』 カネで変えられていいの?」が十日、東京都内で開かれ、二百四十人が参加しました。報告者は「中立的な手続きを定める法案ではない。改憲案を通すためのからくりが潜んでいる」などと指摘。国民の投票行動に影響を与えかねない広告のあり方についても、議論を交わしました。
日本マスコミ文化情報労組会議、日本ジャーナリスト会議などが共催しました。
渡辺治・一橋大学教授は、与党と民主党の合計議席が衆院で97%、参院で96%に達すると指摘。「この圧倒的多数による改憲発議が投票で否決されると、国会が国民多数の意思を代表していないことになる。彼らにとって失敗は許されない。だから(法案には)市民運動の規制など、改憲案を絶対に通す工夫を凝らしている」と話しました。
法案は、投票日直前を除き、メディアに改憲に関する意見広告を載せることを規制していません。桂敬一・立正大学元教授は▽二〇〇一年参院選での公明党のCM量が社民党の二十一・六倍、自民党は十二・四倍に達する▽全国紙が政府広報を何度も掲載している―などを挙げ「広告料の大盤ぶるまいを受けるメディアの現状をみると、公正な役割は期待できない」と危ぐを表明しました。
会場からも「財界の資金で、テレビが改憲派のCMで埋め尽くされる」との発言がありました。
「一定の広告規制」を求める意見も出ましたが、放送業界誌『放送レポート』の岩崎貞明編集長は「法律で放送内容を規制していいのか」と問題提起。「放送界が自主的に公平なルールをつくるように求める運動が必要だ」と話しました。
最後に渡辺教授が「このような非常に重要な論点をおきざりにしたまま、与党と民主党は法案成立を目指している」と批判、廃案を求めました。